人魚ひめ【童話・児童小説】

かごのぼっち

【童話版】はじまり 人魚の赤ちゃん

とおい とおい うみのむこう


ふかい ふかい 海のそこ


さまのひかりが ふるところに


ピンククジラのくにがありました



おうさまは おおきな 大きな ピンクいろのクジラさんでした


クジラさんのせなかには サンゴや ワカメ イソギンチャクがあり おさかなさんたちが たくさんくらしておりました


ピンククジラの国は まいにち まいにち 平和へいわなので


王さまは まいにち まいにち おひるねをします



つきさまが まんまるの よるのことでした


サンゴさんが タマゴをうみました


ポン ポン ポン ポン たくさんうまれました


まるくて ちいさな ピンクのタマゴ


かわいい かわいい ピンクのタマゴ


すぐに おわかれのときがきます


ふわふわ ゆらゆら どこかとおくへ とびたちます


タマゴが まいごにならないように ウミガメさんも パタパタ とびたちました




あれれ?


ピンクのタマゴがひとつ のこっています


ふわふわ ゆらゆら いったり きたり


あらあら たいへん まいごになったみたい!


お魚さんが まいごのタマゴを ています


ツンツン ツンツン お魚さんがつつきます


あぶない! タマゴがべられちゃう!


ところが ツンツンつつかれたタマゴは コロコロころがって アナのなかに おっこちちゃいました


ムズムズ ムズムズ じめんがゆれます


ムズムズ ムズムズ だんだんゆれが 大きくなって


「ハックション!」


なんと王さまが くしゃみをしました


タマゴがおちたアナは 王さまのあたまのアナだったのです


アナからとびだした ピンクのタマゴは ピューンと とんでいって なかまのタマゴといっしょになりました


これで ほっと 一安心ひとあんしん




王さまが ふわあ 大きなあくびをすると ほわん 空気のわっか バブルリングができました


王さまは にっこり笑うと うとうと すやすや またねむってしまいます


くるくる くるくる ふわふわ ゆらゆら 


バブルリングは だんだん だんだん なくなってゆき 


小さな 小さな あわだまがのこりました


大きなかいのふとんに ポツンと のこされたあわ玉


つきさまの光が キラキラ あわ玉をてらします


あわ玉は みるみる にじいろになりました


ふわふわ ぽかぽか ふとんは やさしくあわ玉をそだてます




あるのこと ぱちん にじ色のあわ玉は われてしまいました


「きゅん きゅん」


おやおや?


どこからか かわいい なきごえがきこえますよ?


「きゅん きゅん」


ふとんをみると なんと かわいい赤ちゃんがいます


「きゅん きゅん」


でも 赤ちゃんには あしがありません


あれ? 足のかわりに お魚さんのシッポがついてますよ?


そうです あかちゃんは 人魚にんぎょの赤ちゃんでした


キラキラピンクの かみの


ピカピカにじ色の うろこ


いろんなあおがいっぱいの おめめ


そうです 人魚の赤ちゃんは とってもかわいいのです


「きゅん きゅん」


それにしても なんてかわいいなき声なんでしょう!


「おや? これはかわいらしい 人魚の赤ちゃん」


あまりのかわいさに 王さまもおきてしまいました


「どれ わしが赤ちゃんに名前なまえをつけてやろう」


王さまがつける 人魚の名前がになって お魚さんたちが あつまります


「きゅん きゅん」


赤ちゃんの かわいいなき声に みんなニコニコです


「このの名前は アリア 人魚のアリアだ みんなよろしくな!」


王さまはニッコリわらうと みんなもニッコリわらいます


するとどうでしょう


きゅんきゅん 泣いていたアリアは おはながさいたように わらいました


今日(きょう)も ピンククジラの国は 平和へいわです









──────────────

※「平和」以外は小学校二年生までの漢字を使用しております。「平和」は小学校三年生の漢字ですが、覚えて欲しい漢字なので、わざと使用しております。


【挿絵】

・人魚姫

https://kakuyomu.jp/users/dark-unknown/news/16818093086242771297

・ピンククジラの王さま

https://kakuyomu.jp/users/dark-unknown/news/16818093086365016988

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