第2話
そして10月14日。その日がおとずれた。
わたしは床で寝ていた。夢を見ていたんだとおもう。
きいろに近いオレンジの葉っぱの上で赤い花が咲いていた。
起きると体が痛かった。床で寝ていたせいだ。
どうして床で寝ていたのかすぐにはわからなかった。
頭に手をやると血がでていた。
ウォーターサーバーが倒れて粉々になっていた。
プラスチックのタンクが劣化して氷砂糖みたいに炸裂していた。
わたしは血をぬぐって立ち上がった。
プラスチックの破片を踏まないようにして台所にいく。
シンクに水を浸して顔をあらった。
わからないことだらけだ。
意味もなくあたりを見回しても不安がふえるばかりで、部屋をうろつくたびに人生からヒントが減っていく。
わからないことだらけ。
「石」
わたしはつぶやいた。
部屋の中央に石がおいてあって、それを見ていた。
石が・・・石のまわりにはガラスが散らばっていて・・・
窓ガラスもわれていた。
この石が・・・つまり・・・だれかが石を投げた。
それが部屋の窓ガラスを割って・・・自分をノックアウトして。
さらにウォーターサーバーを倒した。
そんなはずがない。
頭が痛かった。
まともに考えられない。
それでも考えているとくちびるが痙攣してきた。
わたしは床にうずくまって割れた窓から夕日をみた。
もう夕方なのか? 世界が終わろうとしている。
いや、世界は終わらない。ずっとつづいていく。
終わるのはこの瞬間だ。そしてすぐに暗くなる。
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