第十二話 永久が教えてくれたこと
「すごい…。」
私が案内された場所は流石は天皇のご飯を作るところと言うだけはある、現代でも稀
にしか見ることの出来ない一品料理が立ち並んだ台所だ。
それにしてもやっぱりちょっと重いなぁ…。
一応宮中に行くわけだからそれなりの正装をしているんだけど、これがかなり重い。
ここで東宮と
周りから話を聞いて回ることにしよう。
「すみません、少し話をよろしいですか?」
「申し訳ないですが今は忙しいので後にしていただけないでしょうか。」
ううん、これは厳しい戦いになりそうだぞ。
私はこの会話を何度も何度も繰り返してやっと二人の男を捕まえることが出来た。
「あの…一体何のようでしょうか?」
「大したことではありません。ただ…。」
二人があまりにもオドオドしているから私の方は出来る限り笑顔で話すように努め
る。
「亡き東宮様が最期に召し上がったものの
す。」
二人は何だそんなことかと胸をなでおろしたらしく一気に表情筋が豊かになり、目配
せで他の
「東宮様を含め、帝たちのお食事はこちらで管理しております。あまり人には見せな
いのですが…。」
今回は特別と付け加えて見せてくれる。
『朝餉、白米、大根の塩漬け、味噌汁、エビの甘煮付け、鳥の塩焼き』
やっぱりエビほどアレルギーを起こしそうなものはないし、他のものは献立を見る限
り常習的に出されている。
ということはやっぱり別の理由なのか?
その時私はあることに気付いた。
「ここ…味噌汁に関して他の日にちは内容がしっかり書いているのですけど…。」
「えっ…あっ本当だ!もしかして誰かがサボったのかな…。」
二人の反応を見る限り知っていたわけではなさそうだ。以前は詳しく書いていて、こ
の日以降もしっかりと書かれている。ということは意図的に適当に書かれたと考えて
間違いないだろう。
「これを書くのは誰とか決まってるんですか?」
「そうですね…。日割で食事を作る班があるんですけどその班長が普通は書きます
ね。ほら、ここに班長の名前が…。」
「清光…。ありがとうございます。ちなみにこの方は今どこに?」
「清光様なら今日は皿を洗う班で…。もう行かれるのですか?」
「えぇ、でも私がここに来たことは清光様には秘密でお願いします。」
清光…。こいつが意図的に
つるんでいたんだろう。なら下から攻撃したほうが手っ取り早い。
「…あれが噂の御息所様の所の…。」
「あぁ、毒の君だろ…。思ってたよりかわいいな…。」
「そうだなぁ…。俺名前から鬼みたいな人だと思ってビクビクしてた。」
もちろん私にそんな二人の会話は聞こえていなかった。
皿を洗っているところはこれまたすごくて、一皿一皿新品かと思うほどピカピカにな
っている。
「清光様はいらっしゃいますか?」
声を張り上げて聞くと部屋中が静まり返る。
「…私が清光ですが…。」
現れたのはオドオドしている男だった。もっと悪そうな人を想像していたんだけどま
た思い過ごしだろうか。
「少しお話を伺いたいのですがお時間よろしいでしょうか?」
「…!今は忙しいので…。」
あ、逃げようとしてる。だけどこっちもそんな待っていられるほど余裕はないからご
めんね。
私は少し乱暴に清光の
「知ってます?今って死刑が推奨されていないせいで殴る蹴るで半殺しにした後森に
捨てるっていうことが行われているんですよ。」
多分清光はどうしてそんなことをこんな素敵な笑顔で言ってくれちゃうんだとでも思
ったのだろう。半泣きの状況で大人しくついてきてくれた。
永久ありがとう。あなたのお陰で
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜タイトル的に感動系を書きたいと思っていたのですが…。
まだまだ書きますので感動もあるかもしれませんからこれからもご愛読していただけるよう精進してまいります!
応援、☆、コメント、フォローお待ちしております!
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