第3話 煌めく尾



「殺してあげる」



その声の主を俺は知っている。身近にいた、大切な人だからだ。

とはいえ彼女は俺の正体なんて知らないし、俺も教える気はない。


「また、来たのか。ブリリアントテイル」


魔法少女モードのときというか女の子のときの敬語で喋るモードで、声の主に語りかける。

振り返らずともわかる。魔法少女ブリリアントテイルは青髪ボブのキラキラした目が印象

的な魔法少女だ。まるで夜空に浮かぶ星のような、しかも一番大きな輝きを持っている星を体現したかのような衣装を纏う娘である。

きっとあのキリッとした目も変わっていないのだろうし、崖のようなむn―げふんげふん。

………、胸部装甲も変わらないままなのだろう。


「今日は!今日こそはあなたを倒すのよっ」



 その言葉と同時に俺を取り囲むようにして5人の魔法少女が現れた。

 少なくともなりたてなどではないようだ。闘気をひしひしと感じる。


(どうするんだよ………ライ)


『どうするって言っても、来られたからには相手しないとまずいんじゃないの?』


(ちっ………転移術式の構築をしといてくれ)


『りょーかい…………30秒ね』


ラグナロクは…………人間相手には使えないな。

空を見上げる。いつの間にか日は落ちて、薄暗い闇が広がっていた。

かなりの時間が経っていたらしい。しかしこれなら…………


――――フフッ


思わず笑みが浮かぶ。右手を開き、斜め下へかざす。


シャドウ状態変化モードチェンジ構築タイプソード!!」


 魔術を唱えた瞬間周囲の影が右手に集結し一本の片手剣を形どる。


「「「「「アイシクルランス!!!」」」」」


5人の魔法少女がはなったにより形成された氷の槍が俺に向かって飛んでくる俺はそれを十分な距離をとって剣で破壊する。

 ワンテンポ遅れてブリリアントテイル―———テイルが双剣での2連撃がやってきた。

速いな。流石だよ。昔から運動神経良かったしなぁ……

 

 瞬く間にやってきた相手の連撃。

それを剣で受け、もう片方を体をひねってよける。


「グッ……‼」


 追撃としてテイルに回し蹴りをいれて吹き飛ばし魔術を構築する。


「影よ 貫け……影弾シャドウ バレッド


 6人の魔法少女に影の弾丸が打ち出される。

 テイルには双剣ではじかれたが他の5人には当たったようで、隙が生まれる。


『準備、できたよ』


(サンキュ)


「影よ 光を遮らんとする ベールとなれ………遮幕」


 瞬間影が俺の周りを包み込む。


「ッ!!待ちなさい!!」


 待つかよ。


てんiっ―――!!!」


 視界が歪む。転移の術式によりが発動し、空間に歪みが発生しているからだ。しかし、今の俺にはそれだけではないのかもしれない………


 痛い。


 とっさに左手で右脇腹を押さえるがすでに遅く、左手からは生暖かいドロリとした液体に触れた感触が伝わってくる。

幸いなことに術式は発動しているため転移はできているだろう。きっと拠点の誰かが気づいてくれるだろう。あとはアスクレティオス――――レティあたりが治してくれるだろうしな。

 いつの間にか景色は全体が鉄筋コンクリートで覆われたような壁の地下になっていた。

どうやらちゃんと転移してこれたようだ。


「っ!!お姉様!!!」


ああぁ、この声は………ヴァイちゃんかな。

慕ってくれるのは嬉しいんだけどねぇ……いかんせん男だからなぁ。

セクハラで訴えられでもしたら怖いし、ないだろうけど。え、ないよね?


ヴァイちゃん。正式名称はヴァイルスパラドックス。銀色のストレートの髪に色素の薄い、グレーの瞳の魔法少女だ。毒やウイルス等を利用した魔術が得意で、よく研究室で実験をしてるのを見かける。


「レティーー!!!お姉様がぁぁぁ!!!」


「うっさいわねぇ!レティならそこにいるからそんなに大きな声出さないでっ!!!」


頭に響くからそんな大きな声出さないでぇ〜。

 そんなこと呑気なことを考えながら。俺の意識は闇に沈まっていった。












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2024年12月14日 18:00

TS変身魔法少女の世界反逆活動 とるっぽう @toruppou

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