合戦乙女!

高野康木

第1話 プロローグ


 は、フルダイブでするだ。

 けれど、国際試合までつくられている程有名で、しかも、プロとかもいるメジャーなゲームスポーツ――。



 前の学校でも、もちろん遊んだりしたことは、あるけれど……。

 わっ、私にできるかな~。




「よし。頑張れよ、楓!」

「茜ちゃん。どうして、私なの?」




 普通、やるなら茜ちゃんじゃない?

 と、先生にバレないように、隣から顔を覗かせつつ、小声で応援してきた茜ちゃんへと、私がそうきくと――。




「それは、あたしがフルボッコにされたからよ」


 


 と、さも当たり前だと言うかのように、真顔で言ってくる茜ちゃん。


 だからって、何で……。




「頼むぜ、楓。前の学校で、フルダイブ得意だったんだろ? なら、いけるって!」


「得意なんて、一言もいっていないよ。多くしていたって、だけで――」


「平気平気。だか、なんだか知らないけどさ。あいつ、口だけだって」



 ……本当かな~。

 と、まるで、緊張感のない茜ちゃんの声に、一度息をついた私は、ログイン場所を、合戦遊戯へと変更する。




「じゃ、観戦しているからさ。ファイト~」




 もう……他人事だと思って!

 なんて思ったけれど――実際は、ここで私が敗けると、茜ちゃんは、大変なことになるんだよね。



「茜ちゃんの土下座……か」




 できることならば、そんなの見たくない。

 だから、全力を尽くそう。

 私にできる――全力を!


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