第3話 慕われていたらしい

ーside ハルトー



 冒険者ギルドの内部に入ると色々な人がいる。

 これもなんとなく、どこにどのような人がいるのかが誰かはわかった。

 ちなみに走っている最中になんとなーく俺を追放した冒険者達が誰なのかもわかった。

 あいつらは勇者で俺は荷物持ちの立ち位置らしい。



「こちらです。ーーあら?ハルト様」

「先ほど勇者パーティを追放されまして、どうしたら良いのでしょうか?」

「えっーー!?そうですね、勇者パーティとはいえ、冒険者ギルドの一パーティなので、失業届を出せば失業給付金をもらえると思います」

「ほうほう」



 冒険者ギルド、意外としっかりとした組織らしい。



「ただ、勇者パーティの追放案件だと、国へ連絡がいくと思います。それだけの大事案件なので」

「へーー、俺は勇者パーティを辞めたいんだけど、辞めれないとかあるの?」

「うーん、そうですね、合意の上だったら大丈夫かと思われれます、多分ですが」



 そーなんだ、とっととスローライフを送りたいからありがたい話だ。



「あっ!ギルドカードを確認したところ既に先ほど勇者パーティからの追放処理が行われていますね、と言うことは追放カウンターに行けば大丈夫ですよー!」

「わかりました」



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「こちらが退職金と失業給付金です」

「ありがとうございます」

 


 無事にその後俺は無事に追放手続きを終えて、退職金と失業手当を貰った。

 勇者パーティと言うだけあってかなりのものだ。

 これだけあれば、田舎で快適に暮らせるのではないか?

 確か、俺のスキルはクラフト系に重きが置かれているし、大丈夫なはずだ。

 そう思いながら、ルンルンで出口の方へ歩き出す。



「ハルト様」


 なんだ、まだ引き留めるのか?

 後ろを振り返る。エルフの美少年が緊張した面持ちで声をかけてきた。

 

 

「ハルト様、いやハルトさん」



 ーー俺とパーティを組んでくれませんか!?



「へ?」

「あっ!ずるいぞお前、俺はどうですか?ハルト様」

「いやあたしは?」

「俺は!?」



 その後ろからもガヤガヤときた。

 どうやら、俺の転生前のハルトは随分人気者だったらしい。

 うーん、これって、この中の誰かと組んで色々活躍して、いわゆるザマァ展開になる流れなのかなあ。

 でもそれって相手が可哀想というか、あんまり巻き込まれたくないんだよなあ。

 穏便に、穏便に。

 そうだ。どうせなら1番勇気がありそうな、エルフの少年にしよう!


 この後、このエルフの少年が真の特別な才能を持つ勇者だと知って死ぬほど後悔するのを俺はまだ知らない。




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