Fragmentaly World:Frontier

阿伊宇

はっじっめるよー

 まずはキャラエディット。大抵のフルダイブVRゲームはアバターをゲーム間で使いまわせるようになっているから、アップロードして終わりじゃよ。


 アバターは当然ロリ。胸は勿論まな板。ロリ巨乳も悪いとまでは言わんが、私の中の巨乳は最近のインフレ環境での普乳あるいは貧乳にカテゴライズされそうだから意見を差し控える。ただ一言だけ言っておくと、ロリ巨乳は巨乳がメインかロリがメインかで二通りあると私は思っておりまして。




まあ、あれよ。




ギャップで乳を際立たせようってヤツは非道。周囲より大きなおっぱいに恥じらうロリとか、未熟と成熟の組み合わせにより倒錯的な色香を放つロリを楽しむのが邪道。巨乳とか言う属性を付与しないのが正道。QED




 余談だが、私は断じてロリコンではない。何故ならば二次元ロリにしか興味がないから。




 話を戻すと、髪型とかはハンドルにされると面倒だから心苦しいもののショートカットで。せめてもの抵抗として横髪だけは伸ばしてある。胸元に届くくらいに伸ばしてある。表現の自由を侵害するのだから、髪の当たり判定を消せるようにすべきだと断固主張する。




 髪色は銀色で、お月様みたいな感じに。昔に読んだ作品の影響を受けていることは気付いているし、悪癖だとも思うが、どうしても髪色はこうしたくなっての……


 目の色は適当に青藍。何でも良かったから、とりあえず夜空色にした。とは言え作り込みには自信がある。




 身長は142cmくらい。今更ではあるけど、ロリかどうかは微妙なラインかもしれない。




 さて、改めて全体像を見まして。ふっ、流石は私。可愛いぜ。




 まあ、アバターに関してはこのくらいにして。




 で、次が信仰する神様というか、陣営選択。このゲームの最大の特徴であることよ。あるいは最大の篩ふるい。


 選択できる陣営は六つもあってなあ。それぞれで自キャラの能力はおろかマップまで変わりやがる。このゲーム、MMOなのに。


 しかも、これは取り返しのつかない要素だし、別陣営同士での協力マルチなんてものも無い。MMOなのに。




 尖ってるね。




 まあ、それはさておき。信仰できる神様は皆架空神話の神で、それぞれ特徴的な能力と別種の魅力を備えた外見をしており、中々の迷いどころさんなのだが。私は開発初期から追っている身。そんなものとうの昔に済ませてきた。




 伊夜比売命いよひめのみこと。人の神にして、後の天照大御神。




 かの幼い女神を差し置いて、他に現を抜かす余地があろうか。




 性能で選ぶならば、北欧の戦女神が最善だろう。対人を好む私にとって、彼女のバフほど有難いものはないはずだ。あるいはギリシャの機械神も魅力的だ。初期から銃火器を持ち出せる無法な権能は、それこそチートと称するに相応しい。




 対して彼女に目立った力はない。内政に特化したもので、その上大器晩成型。幾度かのテストでも、期間の制限もあり恩恵を感じたことはなかった。




 しかしっ! 美少女こそはこの真理無き世で唯一絶対不変の正義なればッ!




 条理は無く情理で以てお仕え申すっ……!




 まあ、冗談はこの辺にしておいて。イヨ様はな、すこぶるに可愛いんだ。外見も性格も至高なびゅーてぃふる女神様なんじゃ。あんまり信仰心は湧かないが、忠誠心とかそういうのはどばどば出てくるぞ。




 まあ、それもさておいて。次はSPの割り振りをば。このゲームのSPはステータスとスキルの両方に使うものだから貴重ではあるけれども、振り直し自由だから適当で構わんよ。


 だから筋肉偏重。最低限の速さは確保しながらも、筋肉を手に入れる。




 万夫不当、それ 即ち筋肉……!




 筋肉とは浪漫であり、筋肉とは力である。耐久なんぞはおっかさんの腹の中にでも置いておけ。一切の攻撃を躱して殴れば、人は無双の徒に成れる。




 だから武器も、当然大剣を使う。大槌や大斧なんかも良いが、大剣の美しくも殺意溢れる造形美には敵わんよ。


 何? 身の丈以上の武器を真面に使えるのかって?


 そりゃあ勿論、頑張れば使える。頑張れば。




なあ、知っているか? ロリにゴツい武器は浪漫しか・・ねえんだ。


真にゴツい武器に相応しいのはゴツいアバターだけである。世は斯くも無常なり。


 


それでも私は諦めずにこの道を進もう。そして示すのだ。人類の可能性ってやつを。




 まあ、あれもそれもさておき続けて。ようやくここでプレイヤーネームの登録である。これはいつも使っている名前の「一七いづな」でおけ。




 んで、ゲームスタート。




 ロードを挟んで降り立つは、背後に峻厳なる山々を構えた平原。天幕がいくらか張られているのを見て取れる。




 まずは設定を確認しようか。ウィンドウを呼び出して、目を凝らしながらスライドして、スライドして、スライドして………特に何もないな、よし。


 ゲームプレイに多大な影響を及ぼすような要素が設定に仕込まれているゲームって結構多いからね。FW:Fも製品版になってトラップを設置したかと念の為に確認したが、まあ、うん。何もなかった。




 じゃあ、一応他の変更点を軽く探して行こうか。ステータスは微妙にUIが変わっているが……特に変更点はないじゃろ、多分。


 次はインベントリというか初期アイテムは……うん? 大剣に見覚えのない能力が……、




───この武器は決して壊れず、また死亡により失うこともない。この効果はアカウントレベル10到達時に失効する。




 なるほど、初心者のための親切設計か。


このゲームは死亡時に全アイテムをロストするから破産しやすい。特にゲーム開始初期は、一振りの獲物と己の身だけで放り出されてしまうから、訳の分からぬままに無一文なんてことはざらにある。そのせいでαでもβでも素手で何にでも殴りにかかる野蛮人が大量発生していし、PVPでは野蛮大戦バーバリアン・ウォーが勃発していた。


そう考えると、これは多様なビルドを作りやすくする優良調整だろう。




 で、相変わらずマップは無くて、フレンド欄もリセットされている。それからクエストも……ああ、何も変わりない。


 一番上に表示されているのは全陣営共通クエストである、断片世界攻略依頼。貢献度によって陣営の報酬が入る重要イベントであり、PVPの主戦場。その下には、神様直々の依頼がいくつか並んでいる。内容は樵とかの拠点建築に関わるものや、人を生かすための食糧調達、あとは斥候などの周辺調査依頼。


 いやさ、こういうのを見ると妙に感慨深くなる。ゲームが始まった感というか、序盤感がどうして凄くての。




 この状況はこれで四回目にもなるし、他のゲームでも数えきれないほどに同じような体験をしているのに一向に新鮮味は減らない。めっちゃわくわくする。




 さてや、それじゃあイヨ様に挨拶でもしに行こう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Fragmentaly World:Frontier 阿伊宇 @ktmyakyu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ