ファイル 4
真莉は、トミさんを指して
「犯人はあなただ!
佳奈ちゃん!」
僕を含めた全員が呆気に取られていると、トミさんが震えた声で
「お客さん、私は西田トミでカナと言う者じゃ、ありませんじゃ」
真莉は、トミさんに挑む様に立ち向かうと
「私が、1番最初に疑問に思ったのは、地図を私に渡した時のことよ!
何で貴女はそんなに歳がいっているのに手や腕にツヤやハリがあるのかしら?」
トミさんは、意外な事を言われてあからさまに動揺しているみたいだった。
真莉は、続け様に、
「佳奈ちゃんは、キャンプ場に着いたら、山に虫取りに行くと言いながら、上流にあるダムに行き操作して全開で放流させた。結果、三途の川を氾濫させ私たちを逃がせない様にした。
そして、私たちがゆっくりとコテージに向かう間、トミに変装して、何食わぬ顔で管理人室で私たちにコテージの鍵の応対をする」
ただ沈黙の中、全員の視線が真莉へと注がれていた。
「そして、佳奈ちゃんは、私たちがコテージへ荷物を入れている間、また元の姿に戻り、頃合いを見計らってある操作をした後、おそらくペットショップなどで買ったカブトムシ、クワガタを手に如何にも虫取りをしてたかの様に偽装をする。そして、手伝うと言いつつ、ある物を持って、コテージへと向かう。私はてっきり自分の荷物かと思ったけど、全く違っていた」
愛さんが、震えた声で真莉をしっかり見つめながら
「何が入っていたの?」
真莉は、目を閉じて暫く沈黙した後
「非力な女の子が、人1人分運ぶのは、とても難しいけど、それが骨になっていたら、持ち運びも楽だし、軽くて良いとは思いませんか?」
田中君は、意表を突かれた顔で
「じゃあ、あの人骨は、始めから骨だったのか……-?」
「そう、あの現場にあった骨は、重なる様に置かれていたり普通焼かれたならあんな置かれ方はしないはず……恐らく、佳奈ちゃんは、私たちがキャンプの準備を手伝う言った時ショルダーバッグとかに入った人骨をある場所に置き、コテージにあった灯油を、一面にばら撒いた。あのトリックを完璧にする為に……」
僕は、真莉に急かす様に
「さっきから、ある操作とか、トリックとか、一体どんな事をしたんだよ?時限爆弾とか置いたとかじゃないよな?」
「そのまさかよ……いい?時限爆弾なんて簡単にできるわよ。あの焼かれた方見て、電子レンジに恐らく卵みたいなのと爆薬を一緒に入れて電源を入れたんでしょうね。そして、電子レンジが爆発し前のバックに火がつきコテージが燃えた」
田中君は、腑に落ちた様に感心しながら
「だから、あんな音がしたんだ。しかし、それじゃあ、状況によっては火災に巻き込まれないか?」
「もっと、安全に電子レンジを起動する方法があるわよ。ここの電子レンジはダイヤル式だった。ダイヤルをある程度まで回しておく、そして遠隔で電源を入れればいいのよ」
愛さん、鼻で笑いながら
「そんなのできっこないじゃない」
「できるわよ。管理人室にあるコテージのブレイカーを落としていればねそして、タイミングで上げる……!外は大火災でも、管理人室の地下にいれば安全な訳」
全員の視線がトミさん……佳奈ちゃんへと注がれた。
「仮にそうだとしても、私がカナと言う者だと断言できないですじゃ!」
「消去法よ!
貴女と佳奈ちゃんは、同時に存在していなかった!
その顔がマスクじゃなかったらこの推理は引っ込めるわ!」
トミさんは、諦めた様に手を挙げた後、顔をベリベリと剥がした。すると下から佳奈ちゃんの素顔が出てきた。
「まさかね……私の計画は、完璧だったのに……どだい真莉が来るから、別の機会したかったけど、今回を逃すと2度と機会がなかったのよ……!」
真莉は。憐れむ様な視線を送りながら
「佳奈ちゃん……一体何があったの?」
「私の婚約者……佐渡大地は、青年実業家でもあってね……大学に在籍しながら、ベンチャー企業とやっていたの……その彼を、その女ったらしとアバズレがお金目的でキャンプをすると言う名目でここで殺したのよ!
私も誘われたけど、教育実習で行けなかった……急に彼が消えて私は探したわ……そして、一年以上彼の足取りを色々探ってこのキャンプ場にある洞窟で彼の白骨遺体を見つけたわ……遺体の手にはスマホが握っていた。彼は死ぬ間際のダイイングメッセージが録音されてあったのよ。全てこいつらがお金目的で自分を殺したって!
彼の口座の現金や株は、こいつらが横取りして、今までぬくぬくと生きていたのよ!
だから、誓ったわ!
彼の代わりにここで復讐をするって!」
僕は、事件解決後の恒例として、犯人の佳奈ちゃんを捕縛すると、真莉に
「あの白骨は、誰だったんだ?」
「それは、後でゆっくり佳奈ちゃんに話してもらいましょう……私にはわかるけど……ね」
そして、一歩間違えたらみんな焼け死んだかもしれなかった三途の送り人殺人事件は、幕が降りた。
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