五教科/八方面戦争 受験に殺された私が転生して異世界征服
@biuret_NH2CONHCONH2
第1話 転生
私にとってその死は唐突なものではなかった。
中学で心電図検査に引っ掛かって、心臓が脳みその意に反してうまく動かないという異常があることは病院で把握していた。それからも時々胸に締め付けるような痛みがあった。しかしいつもすぐ直るし、なにより自分に死が近いことを認めたくなくて親にも黙っていた。
そしてあれは忘れもしない10月の6日。残暑がまだ時折姿を見せる秋のはじめ。おととい受けた全国統一模試に余りにも凄惨な結果を得てこの先の長い長い克服の道のりに、自分の部屋で茫然と思いを馳せていた。
そして痛みが襲ってきた。
無理の続く受験勉強から来る自律神経の乱れ。猫になりたいといつも願っていた謙虚な私に神様が畏れ多くも慈悲を賜れたのだろうか。
左の肩から腹部に続く痛み。心臓は神経をもたないから、自分であげたい悲鳴を他の部位に託す。
時間は夜も深くなった丑三つ時。家族が寝ているという絶望感。いや、これもいつもの発作だ、安静にしていればすぐ落ち着くに決まってる。落ち着いてくれ。痛い。
ベットに横たわったのと、脳に響いていた下手くそなビートが消えたのが同時だった。
やばい、これはまじでやばい。痛みに声が出ない。筋肉に緊張がほとばしって、携帯に手をのばす。救急車救急車救急車
電源がoffだった。
勉強の妨げにならないために私が切ったのだと思い出したときの途方もない絶望を想像してほしい。やがてAndroidの文字が液晶に浮かぶ頃、若干痛みが和らぐ。というより、意識が。
ああ、秋の床は冷たいなぁ
そして私は……ね?
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