p.8
秀頼はソファの前に座って、
早速優子が使っていた授業資料に
目を通し始めた。
背中に挟んだクッションに寄り掛かり、
あごに指を当てて資料を読むその姿は、
あまりにも様になっていた。
それはまるでドラマのワンシーンのように…
「おい」
「…はい?」
優子はうっとりするのをやめて
小走りに秀頼の隣に駆け寄った。
秀頼が少しずれて空けてくれたスペースに、
飼い主に懐く猫のように座り込んだ。
「ちゃんとやってるじゃないか」
優子の文字で書き込んである資料と、
文字が敷き詰められたルーズリーフを
交互に見ながら、秀頼が言った。
「間質性肺炎だってちゃんとしてある」
「だから、大丈夫ですってば」
「じゃあどうして答えなかったんだ?」
「唐突でびっくりしたからですよ!」
「ふーん?」と言いながら
また秀頼の表情が和らいだ。
こうも間近で見ることが新鮮で、
思わず引き寄せられてしまいそうだ。
「近い」
「あ、すみません…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます