p.4
「試験は明日からだろ?
何のテストか忘れたが…」
一口コーヒーをすすりながら、
空いている手で隣の椅子を引いた。
酸味のあるコーヒーに、
ほどよいバランスの甘味が広がる。
こんなにもコクのきいた
はちみつコーヒーを作れるのは、
この子の特権というか、
才能と言っても過言ではないだろう。
「呼吸器と消化器です。
明後日が循環器と脳神経です」
そう言いながら隣の席に座ると、
セミロングの黒髪から
淡いシャンプーの香りが漂った。
「相変わらず重たいスケジュールだな」
「看護学部は医学部と違って、
そこまで深いことは勉強しませんから」
「他はいいが、
呼吸器だけは落としたら承知しないぞ」
もう一口すすりながらそう言うのは、
この男が、とある大学病院で働く、
呼吸器内科医だからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます