前世でイケメン女子だった公爵令嬢は、氷刃の王子に「可愛い」と言われたい。

高島

プロローグ

「ごめん……君のこと、女の子として見れない」

「えっ?」

「だって君は、俺よりも身長が高くて勉強も運動も出来てイケメンで、女子からモテモテで……君みたいな子を彼女になんて、無理だよぉ!」


 逃げるように、そいつはその場を立ち去っていった。

 ――高校の卒業式の日。ずっと好きだった男子に勇気を出して告白したら、返ってきた言葉はこれ。

 忘れもしない、捨て台詞のように吐かれたこの言葉を。


「わ、私だって、身長は好きで高くなったわけではなーい!!」


 でも……成績の良さやこの短髪、それに『王子様ムーブ』に関しては、正直なところ、女の子にちやほやされたいって気持ちがあったからやっていた。だから、それ以上その男子を責めることはできなかった。彼の遠ざかる背中を見ながら、私は泣いた。



 ――あぁ、次に生まれ変わったら絶対に!


 身長が低くて、長い髪が似合って、フリフリの服を着こなす……


 可愛い女の子になってやるんだからーーーーっ!!!

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