転生先の人生ぐらい花やかに生きてみせる
@flogM
一章 第1話 転生
朝早く起きて出勤前に顔洗って朝ごはんを食べる。布団から出るのが憂鬱であるのはいつも通りのそんな日常。なんの変哲もないいつもの人生も40年ちょいだ。1人で朝静かに食べる朝ごはんは健康的な味がしないのはなぜなのだろうか。
「そろそろ出るか…」
スーツに身を通しネクタイを締めたおれは家を出る。
「あ、しまったヒゲ剃るの忘れてた」
急いでヒゲを剃りに鏡の前まできた俺は自分に言う。
「いつも通り、つまんなそうな顔してんなお前…」
用を済ませ外へ出るときの日差しがなんとも眩しい。
いつも通りの通勤ルートを通る。反対側からくる女子高生とその彼氏っぽい2人が歩いてくる。
「いちゃいちゃしやがって…」
おれは客観的に見てどう見えるだろうか。行きたくない会社に行かなければならない社畜だろうか。人の心を忘れたロボットに見えるだろうか。
信号機をまつ人々で上を向いている人は何人いるのだろうか。下を向いてる人が多いように見えるのはスマホのせいなのだろうか。おれは上を見上げ口にする。
「はぁー、俺ってなんのために生きてんのかな…」
「あの車変じゃない?」
「危ない!避けろー!」
「なんだ…」
ピーーーー!ドォン!
気づいたら空中に身が投げられていた。コンクリートの地面に打ち付けられた俺の体は動きやしない。唯一動く俺の目には赤い水のようなものが見える。これ血か、血ってこんなに出るものなんだと今になって思う。流れる血の量で察した俺は自分に言う。
「ばっ…ばかだなおれ…聞きもしねぇイヤホンつけてっからかな…もう少し早く気づけてたら生きれたかもしれないのに」
生きる?なんのために、誰のために生きるというんだ。周りの声が聞こえる。少し目を動かすと皆は俺にスマホを向けている。これ、もしかして救急車呼ぶより俺のこと動画で撮る方優先されてるのかよ…。少しずつ視界が暗くなっていく。もう…いいかな、存在意義も理由もない人生に未練もないわな…俺の視界は光を失った。
「んぁ…、ここどこ?」
目の前が開放的に開いている、目の前に見える机の上の紙を見つけた。おれは降りてその机にある紙を見てみる
「なんだこの文字、読めるけど…何言ってんだこれ。しょくぶつ?はな?」
紙を戻した俺はふと後ろを振り返ると自分が先ほどまでいた場所がなんなのかわかった。
「でっか、何かの培養カプセルみたいなの」
おれはこの中に入っていたのか?正面バリバリに割れてるけど、まあそのおかげで俺は外に出れたのだが。それよりそのカプセルに映る俺自身におれは気になってしまった。
「これ俺の顔なのか?なんかすごく若返ってるきがするが…、ていうか、素っ裸じゃねえかおれ!」
おれは周囲を首を回して見るが、全く人がいないそれどころか気配すらも感じない。
「ほ、よかった…ってかそういうこと気にしてる場合かおれ」
ひとまず頭の中を整理する。
おれは確かに事故にあったはずだ。出勤前に道路に乗りあげてきた車に撥ねられたところまでは覚えてる。ここはもしかして病院かと思ったが、患者を培養カプセルに入れる病院なんであるわけないよな、とおもいその考えを捨てた。
もしかしてこれは俗にいう転生か、よく聞いたことはあるがほんとにそうなのかとはわからないが。
グゥ〜〜〜
「ていうかめちゃくちゃ腹減ってる…」
というより腹の中に何も入ってない空っぽな感覚がするけどまずいのではないかこの状況
ひとまずここから出る方法を探す。右の方にでっかい扉がある。それをこじ開けた俺は前進する。思ったよりの長く狭めな通路に暗いこともあり、少し恐怖を感じる。時々なる腹の虫にビックリしながらも進むと、ハシゴのようなものが見え、縋る思いでおれは登る。
これもまた長いことと空腹により無限に続いてるように見えるが
ドゴン!
「いっっった!、あぶね!」
どうやら頭をぶつけたようだ、それ以前に手を離さなかったおれを褒めたい。頭をぶつけたマンホールの蓋のようなものを必死に開けようとすると思ったよりすぐに開いた。
「助かった…もう少し重かったら野垂れ死になんですが…」
這い出たおれはまた辺りを見回す。少し暗いから路地裏だろうか、それに空も薄暗く感じる。人の声が少し聞こえておれは思い出す。
「裸なんだよなおれ…なんか着ないとでれないって」
足元を見ると何か落ちてる。拾ってみるとそれは
ローブ的な…?いや、もはや布切れに近い何かを見つけた。近くの溢れてるゴミ箱を見るに捨てられてたのかな?とはいえこれでギリギリ窮地は脱せて…ないきがするが外にでようとするが。
「あ、やばい限界きてるこれ」
膝をつき路地裏に倒れる。少し上を見ると、人々は俺の方をちらっと見てはすぐに目を逸らす。その目は俺に対する哀れみとまるでゴミを見るかのような目で正直きつい。路地裏の壁にもたれかかったおれは自分に言う。
「人は…たすけては…くれないな」
この状況だというのにおれは少し考えてしまう。おれが通行人の立場だったら俺のようなやつに何かするだろうか。いや、きっとしないだろう、見たとしてもすぐにスマホに目をやったり目を逸らしたり。少なくとも声をかけたり、救急車呼んだりとかなんてしない、いやできない。なぜできない?なぜ誰も声をかけてくれない、誰も…助けてはくれないのか。その時事故の時の光景がよみがえる。きっとあのときの俺を撮ってたやつらもそれだったのか。
「君たちは…助けてくれるかこんな俺を。ふっ、誰に言ってんだか俺」
空腹と人の視線に体が限界を迎えた俺は最後の力を振り絞って言葉を発する。
「だ…だれか」
だが虚しいかな声は届かないおれはうつ伏せに倒れた。
「また…死ぬのか」
「だい…じょうぶすか?」
突然かけられた声におれは驚き体を起こそうとするが上がらずに顎を地面に打ってしまった。
「体調とか悪いんすか…?」
「お…おなかが」
「痛いんですか!じゃ、じゃあ病院行かないと」
違う、違うんだそうじゃなくて
「おなか…すい…た」
「ああ…腹ペコなんすねなるほど、じゃあこれ食べます…?これ実は」
彼女が差し出したのはパンだった、中に何が入ってるかとかどんなものかはどうでもいいと言わんばかりに彼女に目線を向ける。
「は…はいあーん」
それを口にしたおれは涙を流してしまった。
「え、ど、どうしたんですか」
「す、すまないパンと人の温かみをいま知ってしまったんだ」
「?」
そしておれはそのパンを食べてエネルギーを補給しながらおれは彼女と向かい合う。正直驚いた、なんせめちゃくちゃ可愛いし髪サラサラであとなんだか品があるというかあと…
「?」
ご立派だ
「ごちそうさまでした、本当にありがとうございます」
「いや、そんなことないっすよ。パンあげただけですし」
「いえ、そのパンが俺を生かしてくれたので」
少し沈黙の間に少し考えていたことを聞いてみる。
「あの、なんで俺みたいなやつ助けてくれたんですか?」
「なんでって…」
「いやあのおれこんな布切れ一枚だし、路地裏で這いつくばってた‥不審者みたいなもんですし」
「なんでだろうね」
その時の彼女の顔はなんだか形容しがたい表情をしていた。その時顎に手を当てたおれに電流走る。
「いっって、いつのまにこんな傷」
「さっき思いっきり顎打ってたじゃん、私に話しかけた時に」
そうだったのか、というよりそんなことにも気づいてなかった自分にびっくりだ。空腹とは恐ろしいものだと感じる。
「あの、私の家来る?処置なら少しはできるし」
「え、い…いいんですか。さっきも言いましたけど俺明らかに不審者で」
「だいじょぶ!…たぶん」
そこは自信持って言ってほしかったとこだが、願ってもない幸運だ。
「よろしくお願いします」
「ほい!ふふ、かしこまってるね」
おれは彼女の一歩いや二歩後ろからついていく。今さらすぎるが、布切れ一枚で路地裏から出てきたやつが、すっごい美人の子に助けられて、家に行く。周りから見てみても俺が思ってることと同じだろう。俺、ストーカーみたいになってないか。いや、でも彼女から家に来ないかと言われたんだし、ストーカーではない‥と思いたい。そしてしばらく歩いていくと。
「着いたよ、ここが私の家」
「な、なんじゃこれ…」
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