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第5話





物心ついた時にはすでに彼がいた。


母の代わりに私の世話をして、父の代わりに私を守ってくれる。



日下は私の騎士ナイトだった。



母を亡くした時も、彼は私の傍で涙を拭ってくれた。自分がずっと傍にいると誓ってくれた。




そうしているうちに───気付けば私は彼を愛するようになった。




親愛の延長か、それとも純粋な恋愛感情か、今となってはよく分からない。ただ、他の誰とも違う特別な感情だった。



私の初恋は日下だったと、はっきり言える。



彼を失うなんて思ってもみなかった。ずっと傍にいてくれると思っていたから。だから彼が死んだと知らせれたあの日……私の世界は真っ黒に染まった。




その真っ暗な世界へ優雅に足を踏み入れ、無惨に笑った男が───あの佐上光流だった。

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