第6話

人が苦しみ死んできた姿、生に踠く姿を嬉々として見てきたような『狂気』が彼の瞳から溢れていたのである。




……イカれているのは、一目瞭然だった。




そうして途端に恐怖と不安が湧き上がってきて、逸らしたいのに逸らすことが出来ない視線をそのままに、私は側に立つ関目に向かって「日下は…?」と彼の名前を口にする。





───日下がいれば、大丈夫。


日下なら、彼から私を守ってくれる。


いつもの冷静な姿で、早く私を安心させてよ。





そう思いながら再度私が「日下はどこ?」と尋ねると、関目が「日下さんは…」と答えるのと同時に目の前の彼が被せるように微笑みを浮かべていたその口を開いた。

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