第11話

…………結寧。





心の中で彼女の名前を呟く。






どうして?


何で……どうしてッ、






同じ問いだけが頭の中を巡る。



何度呟いたところでその返答が返ってくることはないのに止めることができない。





─────…嫌だ。





訳の分からない状況に1人置いていかれた俺はただ静かに動揺するばかりで。



電話を耳に当てながらも、うまく言葉が出ない。……その場から動くことも。




だけど、今の現状が何を意味するのかなんて結寧の行動に全て示されているじゃないか。






───俺が、受け入れられてないだけで。







何も言わずに街を出ていったのは、


何も言わずに離れていったのは、


何も言わずに…俺を置いていったのは、






……それが示す答えなんて 1つしかないのに。

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