警官と魔女
チョコミント
第1話 出会い
「はあっ はあっ」
一人の男が走って逃げようとしている。
(もう少し。あと少しで警官の奴らから逃げ切れる)
そう思って走っていると男の目の前に警官が一人いた。
(ちっ!一匹警官がいやがったか。だが…)
「邪魔だ!!!退け!!!」
男はそう言って手から強力な酸を放った。
しかし、警官はそれを綺麗に避けると逃げる男の腹に拳を一発叩き込んだ。逃げていた男はその一撃で酷く痛そうにしていた。
「ふざけんなよ。クソ野郎!!」
そう言うと男は両手で酸を圧縮し、ビームのようなものを放つ。
しかし、それすらも躱して警官は男に周り込む。
「背負投げ」
警官の投げ技をくらい、動けなくなった男を警官が逮捕した。
「魔法違反使用および強盗の容疑でお前を逮捕する」
「クソがっ!」
男は必死で酸を出そうともがくが一切出ない。
「無駄だ。それには魔力の使用が不可能になる特殊な魔法がかかっている」
「こっちも終わったぞ。アルバ」
「シノさん」
《
一方のシノはアルバの一つ年上で《
「ありがとな。アルバ。俺、魔法の性質のせいで酸苦手だったから助かったよ」
「いえ。私の方こそ残りの二人を捕らえてくれてありがとうございます」
「良いって、これくらい先輩として当然だから」
ここ ルキナ王国は貴族のみが扱っていた『魔法』を市民にも解禁した。魔法の発動は簡単で魔法を発動させたい部位に手を当てて呪文を唱えると『印』が刻まれて魔法が使えるようになるというものだ。
そのおかげで数年で国は大きく栄えた。しかし、その一方で魔法絡みの犯罪も増加していた。そんな凶悪犯を捕らえる為に結成されたのがアルバ達所属の『魔法特務課』である。
魔法特務課は言わば魔法犯罪のスペシャリストである。高度な魔法体系への知識を持つ研究者、犯罪心理学の専門家、魔法技術に長けた捜査官など優秀な人材が市民、貴族に関係なく多く揃っている。
実際、魔法特務課のおかげで魔法犯罪の数は全盛期の半分程まで減り、警察内でも高い検挙率を誇る。
《
「なあアルバ、お前すげー優秀だからもうすぐ昇進すんじゃね?」
「かもしれないですね」
「他人事かよ〜。羨ましいぜ」
「シノさんの方が優秀だし、昇進の話来るなら僕よりあなたでしょ」
「アルバ……お前って奴は……」
などとくだらない会話をしながら飲むこの時間がアルバにとっての至福の時間だった。
次の日、アルバが魔法特務課に行くとそこにシノの姿はなかった。シノはいつもアルバが来る前に必ず特務課にいるはずだった。
不思議に思いつつもアルバと同僚が資料を整理していると課長のシルヴィアからメンバー全員が課長室に呼ばれた。
シルヴィア・ノア
魔法特務課の課長である。彼は貴族身分の老人であり、小さい頃から魔法に触れてきた彼の魔法は国内でもトップレベルで優秀である。魔法特務課に所属する人間から尊敬を集めている。
そこに集まるとノアが一言
「シノが死んだ」
アルバも含めそこにいた全員が動揺していた。
「一体誰が…」
「なんでシノが」
ざわざわしているとノアが続ける。
「そして死因は感電死であり、シノは電気の少ない路地裏でなくなっていた。つまり、犯人は《
《
ここ3ヶ月でシノを含め4人を殺した凶悪犯で未だ正体は不明。目的も不明という恐ろしい人物である。
アルバも捜査に参加しようとするとノアに呼ばれる。
「この
「でも、シノさん含め多くの人が殺されているんです。黙って見ていることなんてできません」
「わかっている。私はお前一人で行かせられないと言ったんだ。付いてこい。お前の新しい相棒を紹介してやる」
ノアに付いて行くとそこは牢屋だった。
(なんで牢屋に?)
疑問に思いつつも付いて行くと一際大きな門の前に着いた。
ノアが鍵を開けるとそこには首輪の着いた黒髪の女性がいた。
「紹介しよう。こいつがお前の新しい相棒の『エリー』だ」
警官と魔女 チョコミント @mod8
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