男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第47話 ルードの補講のせいで食堂の最終に間に合わなかったので、コース料理を準備してくれましたが、礼儀作法の補講になってしまって全く味が判りませんでした
第47話 ルードの補講のせいで食堂の最終に間に合わなかったので、コース料理を準備してくれましたが、礼儀作法の補講になってしまって全く味が判りませんでした
私は毎日、放課後アデライド先生の1時間の礼儀作法の補講と、ルードの帝国の地理歴史の補講を受けていた。
ルードは酷くて時々覚えていない時は、覚えるまでやってくれるのだ。その結果食堂が閉まる時間までに終わらなくて、私はまたヘレナの非常食にお世話になったのだ。
最近はヘレナも冷たい。
それを一度文句を言ったら、
「そうか、食堂の終わりの時間があるんだな」
初めて知ったように言ってくれたんだけど、さすが高位貴族。
「霞でも食べて生きているの?」
私が聞くと
「そんな訳あるか、食べ物くらい前もって準備しているぞ」
「じゃあ私にも頂戴よ」
ムッとして私が言うと
「そうだな。次からは用意しよう」
と約束してくれたのだ。
高位貴族の食べ物って何なんだろう?
私はとても楽しみにしたのだ。
翌日は大貴族の領地についてだった。
でも、地図と領地がごっちゃになってしまったのだ。
「クラウ、ピザン公爵家はコンスタンツェの家だぞ。それくらい覚えろよ」
「ええええ! それはそうなんだけど、周りとごっちゃになってしまうのよね」
「場所はここだ」
ピザン公爵家は帝国の南部の多くを占めていた。
広大な領地だ。
コンスはそこの令嬢なのだ。
そんな令嬢と友達だなんて凄いと私は感動していた。
「コンスのところの産業は」
「鉄鉱山かな。それと武器」
「そうだな。あいつの領地は皆口よりも手が早いからな。クラウも注意しないとコンスに竹刀で殴られるぞ」
「コンスがそんな事するわけ無いでしょ」
私がムッとして言うと、
「あるんだよ。俺なんか小さい時に散々殴られたんだから」
ルードが文句を言ったけど、
「ルードが意地悪ばかりするからじゃないの?」
私がさもありなんと言うと、
「はああああ! 俺も学習するんだよ。最初にヘビの模型を投げつけて模型ごと燃やされそうになったからな。それからは変なことはしていないぞ」
「ええええ! 私には酷いことするのに、コンスと差別するの?」
私がムッとして言うと、
「ちょっと待て! 俺はクラウにはそんな酷いことはしていないぞ」
ルードは都合の悪いことは忘れているみたいだ。
「嘘よ。カエルをポケットから取り出してくれたじゃない!」
「あれは可愛かったからだな」
「どこが可愛いのよ。コンスにやってご覧なさい。100叩きの刑よ」
私はルードの言い訳が理解できなかった。どこの世界にカエルが可愛いっていう令嬢がいるのだ?
いたら教えてほしい。
「まあ、それよりも、ピザン公爵家の人名をさっさと覚えてくれ」
「現当主でコンスのお祖父様がエルマー様ね。お父様がフランク様でお母様がオティーリエ様ね」
「姿絵もあるから一緒に覚えろよ」
「でも、この頭が半分ハゲって何よ」
私がルードが書いたに違いない脚注を見た。
エルマー様の横にそう書かれているのだ。
半分剥げているということみたいだ。その横にルードの似顔絵があるんだけど……
「事実だ。どうしても姿絵は誤魔化すからな。実際に会って判らなかったら困るだろう」
「ええええ! 会うことはないと思うけれど」
私が反論すると、
「そんなのは判るか。孫の授業の見学に来るかもわからないし学期末にはレセプションがあるからな。知り合いの家族は出来る限り覚えておいたほうが良いぞ」
「うーん、でもいっぱいあるんだけど……」
「とりあえず高位貴族は全部覚えておいたほうが良いからな」
「ルードの家は? ルードのお父様やお母様の顔を見てみたい気がするんだけど」
私が言うと、
「それは最後かな。恐らく学園に来ることもあると思うから、来る前に見せてやるよ」
「約束よ。私がここに来れたのはルードの家族のおかげだし、会ったら一応ちゃんとご挨拶はしないといけないと思うから」
私が言うと、
「そうだな」
ルードがなんか嫌そうに頷いてくれた。
まあ、家族を紹介するのは恥ずかしいんだろうか?
「じゃあ、ピザン公爵家からだ」
ルードが問題を出してくれた。
それをすべて答えたら、ルードが
「よし」
そう言って私の口の中にチョコレートを一欠片入れてくれたのだ。
「えっ、チョコレート」
私ががっかりしたように言うと
「お前は何言っているんだ。チョコレートは外国から輸入してめちゃくちゃ高いんだぞ」
ルードが怒って言ってきた。
そうだった。昨日そのように学んだのだ。どうしても前世の記憶があるからそれと比べてしまうのだ。
このチョコレートはとても苦かった。
クッキーの方がましだ。
「もう少し、美味しいお菓子が良い」
私が文句を言うと
「お前のためにわざわざ側近を有名な商店に走らせて買ってやったのに」
ルードが文句を言ってきた。
「ええええ! じゃあカスパーさんによろしく言っておいて」
「なんでカスパーの名前を知っている」
ルードが少し怒って聞いてくるんだけど、
「だって、カッセルに一緒に来てくれたよね。それにこの学園にもいるし。ルードのクラスメイトじゃない」
私は答えた。
「まさか、良く話しているんじゃないよな」
「たまに会ったら挨拶する程度よ」
「あいつとは話さなくて良いぞ」
ルードが言ってくれた。
そう言えばこの前令嬢方にカスパーと話すなと言われた記憶があった。
まあ、ルードといい、カスパーといい、話さないほうが良いのは良いのだ。
結局その日も食堂の時間に間に合わなかった。
私はルードに、次はお菓子じゃなくて何か食べ物が良いとリクエストしたのだ。
でも、それが間違いだった。
翌日は何故かアデライド先生の補講が無くなったのだ。
私は天にも登る気分だった。
でも、それが間違いだったのだ。
ルードの長い補講が終わった時だ。
「注文の多いクラウのために、今日は特別にコース料理を準備してやったからな」
ルードが言ってくれたのだ。
「えっ、本当に。ありがとうルード」
どんな、料理なんだろう。私はとても期待したのだ。
でも扉が開いて給仕たちが入った時だ。
「な、なんで……」
私は目が点になった。
なんとそこにはアデライド先生が先頭に立って入ってきたのだ。
「クラウディアさん。あなたがぜひとも美味しい料理が食べたいとのことで、ルードさんが奮発してくれました。ルードさんには後でお礼を言っておくのですよ」
いや、これは、絶対にまずいやつだと思う。
わたしは青くなった。
料理は素晴らしかったと思う。
見目形からとても手間ひまかけて作られたコース料理だというのは判った。
でも、一挙手一投足、注意が入る食事なんて味は全くしなかった。
せっかくの美味しい料理がアデライド先生の礼儀作法の指導のお陰で全く味がわからなかったのだ。
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