男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第28話 ルードを取られたと怒ったヒロインが私に怒鳴り込んできて、二人して礼儀作法の先生に怒られることになりました
第28話 ルードを取られたと怒ったヒロインが私に怒鳴り込んできて、二人して礼儀作法の先生に怒られることになりました
次の日は目覚ましに起こされて、私はなんとか起きられた。
「クラウ、どうしたの? 目に隈作って?」
でも、朝迎えに来たポピーに驚かれた。
食事に向かいながらヘレナが半分寝ている私に代わって昨日あったことを説明してくれた。
「ええええ、そんな事されたの!」
ポピーが驚いて声をあげた。
「今度からそんな事があれば私に言ってくれ。集団で囲むなど言語道断だ。私がそんな奴らには話をしてやるぞ」
やる気満々でコンスが言ってくれた。
「ありがとう、コンス」
私はコンスにとりあえずお礼を言った。
でも、コンスが絡むと下手したらけが人が出そうだ。
それに公爵家に睨まれたらその貴族が立ち行かなくなるかもしれない。ほんの出来心、まあ私にしたら半殺しの目に合いそうだったけれど、で実家が潰れたりしたら大変だ。
私はどうしようも無くなった場合のみ、コンスに相談しようと思った。
朝食会場に行くと結構混んでいた。
その中でも、金髪のルードにピンク頭のデジレが纏わりついているのが目立った。
「ルード様。私と一緒に食事をして下さい」
「いや、俺はカスパーと仕事の話があるから」
ルードは必死に逃げようとしていた。
私はピンク頭にまとわりつかれていい気味だと、山のような宿題を出してくれたルードを見て微笑んだ。
「何、クラウ、恋敵の出現に顔が歪んでいるわよ」
ポピーの言葉に私はむっとした。
「恋敵じゃないわよ」
私が言うと
「おおおお、さすが、クラウは余裕だな。レセプション会場からルードと一緒に逃げ出すくらいだからな」
コンスが笑っていってくれた。
「だから、ルードとは恋人ではないんだって」
私はからかう二人にいい切ったのだった。
「ええええ! だって、1年生をエスコートするのは婚約者がいない限りは上級生だと暗黙のルールあるのに、強引にルード様があなたをエスコートされたのではないの?」
「強引にルードが上級生から替わらせたんじゃないのか?」
二人して断定してきたけれど、それはそうかも知れないけれど、恋人ではないのだ。
「ルードは私が最下位だから、仕方がないから勉強を見てくれているのよ」
私が説明すると、
「いやいや、普通はEクラスの女の子が最下位でもルード様は面倒なんて見られないわよ」
「あの、傲慢なルードがそんな事するわけない」
二人して断言してくれるんだけど
「そんな事ないって! というか、傲慢なのはそのままで、私の能力考えずにめちゃくちゃ詰め込んでくれるのよ」
「誰が傲慢だって!」
私は後ろから声をかけられてギョッとした。
「ルード!?」
後ろを振る帰ると歪んだ笑顔のルードが立っていた。これはまた怒っている感じだ。
「きゃっ」
「ルード様よ」
周りの女性陣が急にこちらを見た。
ちょっと、待ってよ!
私に近づかないんじゃなかったの?
アデライド先生にも注意されたのに!
「よう、傲慢ルード、久しぶりだな」
「げっ、コンスタンツェ! なんでお前がクラウと一緒にいるんだ?」
驚いてルードは聞いていた。
「どうしてって、私もクラウと一緒のクラスメイトだからだ」
「はああああ? お前まで組分けテストで点数が取れなかったのか?」
ルードが驚いてコンスを見ていた。
「追試の全員が同じEクラスだ。お前のところの担任の陰謀じゃないのか」
コンスの言葉に私は考えた。
A組は確か物理の先生だった。
「それは聞いていないぞ。
ということで、クラウ、宿題は必ずやっておくように」
そう言うとそそくさとルードは逃げていったのだ。
何がということなんだろう?
ひょっとしてルードはコンスに弱い?
私はいい事を知ったと喜んだ。
「しかし、宿題をしろって言っていることは本当に勉強しているんだな」
コンスが驚いて聞いてきた。
「そう。大変な量なの。コンスも一緒にやらない?」
コンスがいればルードもあんな強引なことはしないはずだ。
私が喜んで誘ったら、
「いや、剣術なら良いが勉強は遠慮しておこう」
せっかく、ルードを牽制できると思ったのに、コンスにはあっさり逃げられてしまった。
私はがっかりしたのだ。
しかし、そんな私を手を握りしめてブルブル震えてデジレが見ていたなんて知らなかった。
「ちょっと、そこの銀髪!」
いきなり後ろから声をかけられて、私はぎょっとした。
銀髪ってこの学園にはほとんどいないはずだ。
後ろを振り向くとそこには怒髪天のピンク頭のデジレが仁王立ちしていた。
「あなた、悪役令嬢のくせに、何をヒロインの私とルード様の仲を邪魔してくれるのよ。素直に引っ込んでいなさいよ」
私は目が点になった。
こいつも転生者だというのは判った。
でも、デカデカと悪役令嬢とか、ヒロインとか大声で皆の周りで叫ぶか?
私は意味が判らなかった。
横でヘレナが頭を抱えているし……
「ちょっと、何か言いなさいよ。あなたも転生者なんでしょ」
ちょっとこいつ何を言い出すのよ。私を巻き込まないで!
私は普通の学園生活を送りたいだけで、断罪されたいわけじゃない。と言うか一緒にされたくないから話しかけてほしくない。
「ゲーム知っているから、その先回りして私とルード様のイベントを勝手に奪い取っているのね」
何か理解不能なことを言っているんだけど。そもそも私はゲームは知らないのだ。
「あのう、すみません。何を仰っていらっしゃるか全くわからないんですけど」
私は何もわからないふりをした。半分は事実だ。ゲームは知らないし……
「はああああ! 誤魔化そうと思っても無理よ。ライゼマン公爵令嬢」
こいつもヘレナと一緒で私が公爵令嬢だと思っているんだけど。
「あのう、失礼ですが、私はオイシュタット男爵家の者ですが。人違いではないですか」
「何言っているのよ。あなたどう見てもゲームの悪役令嬢のクラウディア・ライゼマンじゃない」
私は頭を抱えたくなった。
もっと小さい声で、できたらふたりきりの時に聞いてよ、そんな事は!
こいつには学園で静かにするという基本的なことも出来ないのか?
貴族だったらもっとオブラートに包んで話すはずなのに。誰よこいつに教育したのは!
私は叫びたくなった。
「ちょっと、そこ、何を騒いでいるのですか」
ええええ! デジレの大声を聞いてアデライド先生がやって来たのだ。
「また、クラウディアさんですか」
呆れてアデライド先生が言ってくれたけど、私は今回は悪くない! いつも悪くないけれど!
「どうしたのです?」
「こちらの方が私が恐れ多くもがライゼマン公爵家の令嬢だって言われるんですけど、私はカッセルのオイシュタット男爵家のものだと言っても信じてもらえなくて」
私が困って言うと
「デジレさん。あなたは学園の入学した時の注意を聞いていなかったのですか」
「えっ、いや、私はこの女がクラウディア・ライゼマンだと確認したかっただけで」
「学園では身分で差別をなくすために、姓を名乗ることは基本的に禁止なのです」
「でも、確認したかっただけで」
「それでもダメです」
「でも、先生……」
そこでやめればよいのにピンク頭は反論してくれたのだ。
「デジレさん。あなたは始皇帝が始められた、学園では全ての生徒が親の身分によって差別れる事無く、学園在学中は皆で切磋琢磨して勉学に励むという崇高なお考えに反対するというのですか」
「いえ、あの、それは」
「そもそもですね……」
いかん、アデライド先生のスイッチが入ってしまった。
それから始業時間ギリギリまで延々とアデライド先生に説教されてしまったのだった。
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