男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第7話 ルード視点 クラウの父が父の権限で行かさないと言い出したので笑ってしまいました
第7話 ルード視点 クラウの父が父の権限で行かさないと言い出したので笑ってしまいました
俺の腕の中にいるクラウは大きくなったけれど、相変わらず痩せていた。
いや、これは虐められているのか?
ひょっとして食事も満足に与えられていない?
「いっちゃ、嫌だ」
俺が帰る時に泣きついてきたクラウを思い出していた。
その時に「また来るから」
俺はそう言って帰ったのだ。
クラウの母が死んだという時に、無理してもここに来れば良かった。
俺は少し後悔した。
でも、なんでこの男爵家の後継者であるクラウが虐められているんだ?
「あ、有り難うございます」
クラウの言葉はとても他人行儀だった。
俺だと判っていないみたいだ。
「いや、つい手が出てしまった。大丈夫か?」
俺は思わずその痛々しそうな頬に手を伸ばしてしまった。
「痛いっ!」
「あ、すまない」
俺はクラウの悲鳴に驚いて手を引っ込めた。
「ちょっと、あなた、誰なの? お金をちょろまかせたメイドを注意して教育しているところを、邪魔しないでくれる?」
なんか理由のわからないやつが、叫んでいる。メイドってクラウはこの男爵家のだた一人の直系の子供のはずだ。
基本的にこの男爵家の当主はクラウの母親で俺の母の従姉妹であるエレオノーレだった。父親のアロイスは入り婿だ。当然継承権はない。継承権を持つのはその二人の娘のクラウのはずだ。
今は未成年だからアロイスが仮に当主になっているにすぎない。
貴様こそ、この男爵家の後継者に手を出してどういうつもりだ!
俺はそう叫びたかった。
「教育に、暴力とはカッセル王国は野蛮なのだな」
俺は理由もわからないので、とりあえず、そう言ってみた。
「な、何ですって!」
女が切れたが、どうでも良い。
「ルード様、こちらにいらっしゃいましたか?」
後ろから、慌てて、俺の側近のカスパーが飛んできた。
「フリーダ、どうしたんだ?」
同時にクラウの父のアロイスが、飛んできた。
「あなた、この男がメイドを注意したら、文句を言ってきたのよ」
女の言葉にこの女がクラウの継母だと俺は知った。こいつ、クラウに暴力を振るいやがって!
それを実の父親のアロイスも認めいているのか?
俺は完全に切れた。
「フリーダ、言葉は慎みなさい。こちらは帝国の学園からいらっしゃったルード様だ」
「えっ、帝国から。
まあ、ようこそいらっしゃいました。オイシュタット男爵の妻のフリーダと申します」
急に継母のやつは態度を変えてくれた。
「オイシュタット男爵。あなたの妻はメイドに暴力を振るっていたが」
俺は仮の男爵にクラウをメイドだとかまをかけてみたのだ。
「……」
クラウの父のアロイスはそれを否定しなかった。
「いや、ルード様。そのメイドが相当なことをしたのでしょう。メイドへのしつけも時には必要ですからな」
「ほおーーーー。外務卿はカッセルではメイドの教育に暴力を振るうとそう言われるのだな」
俺はそう言った外務卿に怒りを向けた。
「いや、そう言うわけでは……たまにはそう言うこともあるかと勘案いたした次第でして」
外務卿も俺に逆らうのがまずいと気づいたみたいだった。
「いや、申し訳ありません。ルード様。家内にも後で言い聞かせておきますので。フリーダ!」
アロイスは慌てた。
俺のことは誰だか昔のことは忘れているみたいだが、俺が外務卿に気を使われる存在だということで、とても気を使っているようだ。
俺に謝ってきたが、謝るのはクラウに対してだろう。
「フリーダ!」
「も、申し訳なかったわ」
アロイスに促したが、嫌々継母はクラウに謝った。
後で仕返しするつもりだろう。でも、俺様はこの継母にそんなのは許すつもりはなかったが。
とりあえず、俺は場所を変えるとこにした。
クラウのために連れてきた女騎士に治療させることにしたのだ。
継母は嫌そうな顔をしたが、俺は押し通した。
部屋を出しなに俺は
「クラウ、ちゃんと治療を受けろよ」
とクラウにだけ聞こえる声で本人の事を呼んだのだ。
クラウは名前を言われて驚いて俺を見てきた。俺のことを思い出したのだろうか?
とりあえず、俺は応接に案内された。
「帝国の学園からクラウディア嬢宛に、帝国の学園に通うようにと指示がでていたと思うが」
俺は大上段に切り出した。相手の立場で態度を変えるこういった輩は上から言うに限るのだ。
「しかし、ルード様。男爵家令嬢が帝国の学園に通わせるのは結構大変なのですが」
アロイスが反論してきた。
「しかし、あなたの妻のエレオノーレ様は通われていたが」
俺は皮肉を言ってやった。通わせようと思えば当然通わせられるはずなのだ。一応男爵家だ。カッセル国内の学園に貴族は通うのが基本だ。それと帝国の学園にかかる費用はほとんど変わらないはずだ。
補助の費用とかは帝国の方が優れているので、下手したら安いはずだ。
まあ、クラウをメイドとしてこき使っている態度からして、通わせるつもりがないのは明白だったが。
「いや、男爵。帝国の学園からお誘いがかかる事なんてめったにないことだ。カッセル王国としても今後の帝国との関係を考えてぜひとも通わせてほしい」
外務卿が慌てて後押ししてくれた。
俺がそのためだけにこの辺境のカッセルまで来たのだ。当然外務卿としては通わせてもらえないといけないわけだ。
「いや、しかしですな」
「あなた。せっかく帝国からご使者のルード様がいらっしゃっているのです。ここはぜひともそのお言葉に従った方がよくてよ」
「しかし、お前」
「あなたちょっと」
二人は隅で何やら話していた。どのみち二人の表情からは何か悪巧みをしているみたいだった。
今回は俺はどんな事をしてもクラウを連れてこいと母に命じられているのだ。
最悪費用面は母がなんとかするだろう。
俺は二人が費用の負担を減らそうとしているのだと思ったのだ。
でも、俺は少し時間をかけて連れてきた娘を見て唖然とした。
相手はクラウではなくて見も知らぬ娘だったのだ。
「はじめまして、ルード様。カ、いえ、クラウディア・オイシュタットです」
娘が噛みながら挨拶してくれた。
「ほう、可愛らしい娘さんですな」
外務卿まで疑いもなく頷いてくれた。こいつは閣僚のくせにオイシュタット男爵の後継者を知らないのか?
俺は唖然とした。
「ふざけるな!」
俺は思わず怒りのあまり立ち上がったのだ。
「どうされたのですか? ルード様」
俺の様子に外務卿が驚き慌ててくれた。
「カスパー、先程の女を連れてこい」
俺は側近に命じた。
「どうしたのです。ルード様。この娘がクラウディアです」
「私、何かお気に召さないことをしたでしょうか」
「大丈夫よ。クラウディア、ルード様の勘違いだから」
3人がふざけたことを言ってくれている。
俺が直接来て良かった。もし他のやつなら、クラウでない女を連れ帰って母の叱責を食らうところだった。
この外務卿は母を謀ったということで下手したら罷免になるところだ。
何をのほほんとしているのだ?
カスパーがクラウを連れてくると、アロイスら3人はクラウを睨みつけていたが、こいつらは帝国に詐欺罪でしょっぴかれたいのか?
「お前がクラウディアで間違いないな」
俺はクラウディアに一応確認した。
「滅相もございません。クラウディアはこちらの娘です。そちらはメイドのクラウで」
必死の形相で継母が叫んでいた。クラウを睨みつけて何も喋るなっと目で言っていたが、俺が許すとでも思っているのか? もう絶対に許さない。
「平民の分際でクラウディアを呼び捨てにするな。クラウの愛称もな」
俺は叫んでいた。
「ルード様。男爵家の私の家内を平民とは酷いではないですか?」
アロイスが反論したが、
「外務卿。俺を謀って別の娘をクラウディアだと偽装したのはどういう事だ? これは国際問題だぞ」
俺はアロイス等を無視して外務卿に食って掛かったのだ。
「いえ、ルード様。お待ち下さい。こちらの銀髪の娘がクラウディア嬢だと言われるのですか?」
慌てて外務卿が俺とクラウを見比べた。
「そうだ。大叔母様の銀髪を受け継いでいるからそうに間違いない」
「確かにエデルガルト様は銀髪でしたが」
外務卿は困惑した顔をしていた。自国の継承者くらい全員の顔と名前を覚えておけよ!
俺は文句を言いたくなった。
「エデルガルト様の娘のエレオノーラは栗色の髪でしたよ。孫のクラウディアが銀髪だという証拠にはなりますまい」
「何を言っているアロイス。お前はクラウディアの父だろうが。実の父が何故嘘をつくんだ?」
俺はもう完全に切れていた。
「そもそも俺は5歳の時にそこにいるクラウと一緒に遊んでいるぞ」
「ええええ! あなたあの太っちょルードなの?」
俺の言葉にクラウが反応してくれた。
「前の変なあだ名は余計だが、ルードはあっている」
ムッとして俺は答えてくれた。
何故そんな余計なことだけ覚えているのだ?
「今回は俺はそのクラウディアの親族からクラウディアを連れて帝国の学園に通わせる世話をするように言われてわざわざここまで来たのだ」
母は一応、親族だ。この母の言う通りにしないと本当にまずい。
「そ、そんな」
継母等は青くなった。
どのみち、ルード等が帰った後にクラウを鞭打っていじめようと思っていたんだと思う。
でも、俺は許さない。コイツラに今までクラウにしてきた酷いことを倍にして返してやりたいくらいだ。
「お待ち下さい。ルード様。クラウディアは私の娘でもあります。勝手に連れて行かれては困ります。このカッセル王国では父親が賛成しない限りは勝手なことは出来ないはずですよ」
アロイスはとんでもないことを言い出したのだ。
俺はもう完全に切れてしまった。
「残念でしたわね。ルード様。この娘は家から出しませんわ」
「そうよ。お義姉さまだけが帝国の学園に行けるなんて許されないわ。お義姉さまはこの家でずうーとメイドとして働いてもらうんだから」
何か母娘も余計なことを言っている。
「あは、あはははは! お前らは本当に面白いな」
俺は笑うしか無かった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ルード視点でした。
次話はまたルードの母が出てきます。
親友の娘が酷い目にあっていた事を知って母が黙っていられるでしょうか?
続きが気になる方はフォロー、評価☆☆☆を★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
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