詩 やっと帰郷

仲仁へび(旧:離久)

第1話



「お前、存在しない故郷にどう帰るつもりだ」


「皆そんな国はないと言うけれど」


「私はきっとまだどこかで続いていると信じている」


 懐かしさがこみあげてくる

 嬉しかった

 帰れたから


 懐かしさがこみあげてくる

 だいぶ時間がたったけど

 やっとここに戻ってこれたから


 心の中の

 一番奥の

 古い記憶の

 安心できるところ


 私は帰った

 ついに帰れた


 ここでようやく

 今ようやく

 やっと そうだ

 もう そうなんだ


 懐かしさに支配される

 体が震えて止まらない

 懐かしさで満たされる

 やっと やっと


「もうこの世界のどこにも存在しないなんて思わなかった」


「誰の記憶の中に残っていなくても」


「どれだけの時間がたっていても」


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詩 やっと帰郷 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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