僕が もっと桜を嫌いになった理由

悠真

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 先週の花見デートの約束が仕事の都合で飛んでしまい、仕切り直しで臨んだその夜。


 僕はもともと地味に咲く菜の花派で、桜は派手すぎて、それが白々しくもあり、多くの人々にやたらともてはやされるところが、どうも好きになれなかった。


 よって、もしデートという名目がなければ、あえて花見をすることもなかったはずだった。



 アサミを家のそばまで車で迎えに行き、桜祭りがあるという比較的近所の桜の名所を訪れた。


 丘の上にある神社に至る坂道の脇に、ライトアップされた桜がたくさん咲いているという。

 例年4月中旬がピークで多くの地元客でにぎわうらしい。


 なぜかそばに専用駐車場がないので、僕らは互いに仕事上がりで疲れているのに、けっこうな道のりを歩くはめになった。


 それでも道中、神社のものに違いない燈籠がいくつも並んでいたためか、歩を進めれば進めるほどに、ふくらむ期待に僕もアサミも満面の笑みを浮かべ息を弾ませた。


 いよいよ丘のふもとまで来て、坂道になった。

 ネットのガイドでは燈籠に火が灯り、提灯もぶら下がる幻想的な桜並木を眺めて登るはずだったが、明かりは一切なく、真っ暗闇が大きな口を開けているきりだった。


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