第10話 リサイクルセンター到着!
しばらく歩いているうちに目的のリサイクルセンターに到着した……らしい。メカニックが建物の電光看板を指差しながら『到着したぜ』と言っているので、きっとここがリサイクルセンターだ。結構あるいたねえ。僕はまだ全然余裕あるけど、メカニックは少し疲れてるみたい。休憩しよっか!
「メカニック、疲れてるだろう? ちょっと休もうよ」
「おまえは元気そうだがな。ああ、休憩したいね」
近くにベンチと何か大きな箱を見付けた。箱の方はよく分かんないけど、椅子があるのは助かった。まあ、地べたに座っても良いんだけど、椅子があるのは嬉しいね!
「……これは自動販売機だな」
「自動販売機?」
「おう、この箱の中に商品が入ってる。金を払えばそれが手に入るってわけだ」
「無人でものを売ってるわけ? それって危険じゃないかい?」
「それだけ地上の治安が良いってことだろ」
へえ~。地上世界って治安が良いんだねえ。そんな雰囲気はあるけれど、自動販売機なんて地下世界にはなかったよ。楽園にでも来た気分。ん? メカニックは何してるんだろう?
「あ、駄目だ。地下世界の硬貨は使えないみたいだな」
「そりゃ、地上で地下のお金は使えないんじゃない?」
「元々、地球から月へ移民してきた時は共通の金を使ってたはずなんだぜ。もしかしたら、今でも共通の金を使ってるんじゃないかと思ったが……」
「共通じゃなかったわけだ。僕たち無一文だね。どこかで仕事を探さないと」
「仕事ぉ? 盗む方が手っ取り早いだろ」
メカニックはこういうところがある。そりゃ、生きてくために必要な盗みもあるけどさ。気持ちは分かるけども。僕だって、物拾い屋だからね。盗みを一切するな、だなんて偉そうなことは言えないよ。けど。
「メカニック。盗みは必要最低限だ」
「ふぅん。じゃあ、この箱の中身は要らない? 飲み物が入ってるぜ?」
「要らない。喉は乾いてない」
「そうか……なら、俺も今は良いかな!」
メカニックは残念そうに笑い、ベンチにドカッと腰を降ろした。さっきは一瞬喧嘩になるかもと思ったけど、ならなくて良かった。まあ、喧嘩になったら僕が必ず勝つんだけど。今はそういうことをしたい気分じゃない。
「それで、メカニック。これからどうするつもりだい?」
「さっき地図をみた時も思ったが、地上世界は広い。まずは足が必要だ。ここで乗り物をかっぱらう」
「ふぅん。それは必要な盗み」
「俺たちには必要な盗みだ。と、俺はそう思うぜ」
「了解。なら、やることは決まりだね」
リサイクルセンターから乗り物を盗もう!
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