お猿
まったくさ、柚穂といい兄貴といい…
オレをおちょくりやがってさ。
そんな次の日…
またしても柚穂は、やってきた。
しかも、
「パーク内のお掃除入りますねー」
って言ってさ。
…なにっ⁉︎
パークってなによ⁉︎
てか、ほんとなにっ⁉︎
「…柚穂、パークってなに?」
「え?部屋に張り紙したんでしょ?わたし、知ってたよ。この部屋にサルが住んでること。サルパーク入園無料だし、餌も普通はあげるのにさ、ここはくれるからめっちゃありがたい」
と、しれーっといったんですよね…。
「おい、だれがサルなんだよ」
「そりゃ、優馬に決まってる。てか、お掃除するから赤ちゃんザルは、隣の部屋でおねんねしててね〜」
なんて言われたよね…
…
てか、あなた…
「柚穂って…お掃除にきたんだよね?」
「はい、そうですが。」
あたりまえです。
みたいな表情をみせてくる柚穂。
…
だからオレは、
「あのー、お掃除用具が見当たりませんけど?」
って聞いてやったよね。
そしたら、
「あら、わたし新人なのでうっかりしておりました。てか、コザルさん…よく喋るんですね。小猿のくせに」
って、軽く睨まれた感…。
そしてほんとうにベッドメイキングから行われた。
ってか、布団整えてフツーに布団に入って眠りだす柚穂。
「…おい、掃除は?」
「あ、休憩なのでお構いなく」
と、目を瞑る柚穂。
自由すぎんだろ…
てか…
サルの部屋で寝るやつってどうなん?
というか…普通に、兄貴の部屋で寝ればいいのに…
「あのさ…」
オレの言葉に柚穂は、目をパチリとあけて
「おそいたくなった?」
なんて言い出すんですよね。
なんでしょう…
ほんとに、どんな性癖しとるんよって心から疑ってしまうよね。
あー、なんでオレはこんなパークを運営して…って、そもそも‼︎
オレがさるなん⁉︎
てか…なんで、サル部屋になってんのさ‼︎
オレは、サルじゃない…けど…でもさるどしか…。
でも、サルじゃない…けど…そもそも祖先をめっちゃ辿るとサルっぽいけど…
…
てか、今はそこじゃない‼︎
おそいたくなったってなに⁇
そりゃ…兄貴の彼女になってまもないから、まだ好きって気持ちが完全にすぐに消えたって言ったら…そうじゃないけどさ。
だからって…
おそうってなに?
さるって、寝てる人間おそうの⁇
って‼︎
だから、オレはさるじゃない…と思う。
…
…
てかさ‼︎
どんな挑発だよ⁉︎
もしかして、柚穂って…オレの気持ちに気付いてて、あえて挑発してるんか⁉︎
そんで、それを兄貴と後でイチャイチャ話しながらしたりするん⁉︎
そういうことして、オレを興奮させて…そんでもってお預けさせて…そんでもって後で二人で興奮して…その…あんなことやこんなことしてるん⁉︎
オレの隣の部屋で…
…
あーしんど
マジでしんど…
そういうことはさ、オレを巻き込まないで勝手にどっかでやってくんないかなー。
なのでオレはそんな挑発には、のりませんでしたよ‼︎
オレは好きなやつしか襲わない‼︎ってはっきり言ってやりましたとも‼︎
オレ‼︎今日一日、いい仕事をしたぜ‼︎って自分を褒め称えたよね。
そしたら、柚穂はプスんプスんして布団から起き上がって帰って行ったよね。
あ〜、今日はよく眠れそう。
今日は、柚穂のお母さん仕事休みみたいだし、一緒に食卓も囲まなくて済んだわ〜。
夕飯も食べてお風呂に入って、最高な気持ちで布団に潜り込んだよね〜。
そしたら、口になんか違和感があったんよ。
だからなんだろう?って触ったら…
ぴゅるピュルー〜んですって糸みたいなやつが口から出てきた⁈
え⁉︎
オレの口、どうなってんの⁉︎って思ったら、たぶん…
これは…柚穂の髪の毛ですかね…?
かあさん、こんな髪長くないし…兄貴も父さんも長くないもんな…。
もちろんオレも短い。
てか、オレの特別に伸びた幸せの毛かな⁉︎
って…こんな真っ暗く艶々に伸びてたら普通、途中で気がつくよね。
てことで、柚穂の髪に違いない。
速攻でゴミ箱にさようならしたよね。
なんなら兄貴の部屋に置いてこようかなって思ったりもしたけど、二人のことはあんまり関与せずに、放っておこうと決めましたよ。
一人会議でね。
一人会議は、長引かないから良いです。
反対意見も基本出ませんし。
だって、オレの脳内で都合のいいように会議がとりおこなわれるもんですから。
いいのか悪いのかは、知らんけど…
…
続く。
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