幼馴染が馴染み過ぎた結果、にじんだよね

猫の集会

あつかましい幼馴染

 オレの名前は、優馬ゆうま

 

 

 突然ですが、オレの部屋が待合室に進化しつつありますっ‼︎

 

 

 しかも、オレのベッドが休憩所って説も出てきました。

 

 

 これは…いったい…。

 

 …

 

 只今、夕方の四時半。

 

 オレは学校から帰り、のんびり漫画を読んでいたんよ。

 

 となりにお菓子なんか添えてさ。

 

 

 ベッドに転がる、優馬ゆうま風味お菓子添え。なんつってね。

 

 オレって色々ネーミングセンスあるわーと、絶賛していたんですよ。

 

 

 そしたら、いきなりさぁ…となりに住んでいる柚穂ゆずほっていう自称幼馴染が入ってきたんですわ。

 

 

「優馬いるー?てか、あたりまえのようにいるよねー、おじゃま〜っ」

 てさ。

 

 

 …

 

 

 一分後…

 

 マジじゃまなんだよね。

 

 

 だって、柚穂のやつ…当たり前のようにオレのベッドに転がってきやがったんよ?

 

 だれか勝手に、オレのベッド添い寝募集中って求めたん?

 

 てか…

 

 なんなん⁉︎

 

 

 男子高校生のベッドに気軽に転がる女子高生って…あかんくない?

 

 

 でさ、ベッドの上で楽しそうに

「今日さ、友達がさ」

 なんて話だしたんよ。

 

 しかも、オレのお菓子食べだしたし…

 

 

 え?

 

 オレは…修学旅行の夜にでも瞬間移動したのかな?

 

 

 先生に見つからないように布団かぶっておこうぜって‼︎

 

 違う‼︎

 

 

「あのさ…兄貴帰ってきたみたいだよ?」

 

 オレの言葉を聞いて一瞬で起き上がり、また布団に転がる柚穂。

 

 

「まだ帰ってくるわけないじゃーん」

 

 …

 

 バレたか。

 

「あのさ、オレの部屋は待合室じゃないからね?」

 

 オレの言葉にムスッとする柚穂。

 

「わたしはさ、優馬が寂しいかなって思ってわざわざこの部屋に寄り道してあげてるんだよ?なのに、わたしを邪魔みたいな…まるで邪魔みたいにいうじゃん?」

 

 なんていい、オレを見下ろしてきた。

 

「うん、邪魔」

 

 はっきり邪魔と伝えると柚穂は、

「そんなこというと、和馬かずまに告げ口するんだからね⁉︎優馬…お兄ちゃんに怒られればいいよ‼︎」

 と、いい柚穂は部屋から出て行ってしまった。

 

 そして、

「おかあさーん…優馬がさぁ」

 と、オレの母ちゃんに愚痴っていた。

 

 そこにちょうど兄貴も帰ってきたみたいで、柚穂は兄貴にも告げ口をしていた。

 

 

 …まったく。

 

 なんかオレの妹みたい…

 

 …

 

 しばらくすると、柚穂は兄貴の部屋に兄貴と一緒に入ってきたようだ。

 

 

 柚穂は、兄貴から週三回勉強を教わっている。

 

 

 まぁさ、オレだって小学生レベルなら教えられるよ?…って、そんなレベルで教えられても困るよね…。

 

 そもそも柚穂は、ほぼ毎日うちにやってくる。

 

 

 柚穂は、一人っ子で母親が仕事で忙しいからうちに遊びにくるのだ。

 

 俗に言う寂しがりや族なのだ。

 

 だから勉強を理由に、うちにこうしてやってくるのだ。

 

 

 だからって…だからってさ、オレの部屋にいちいち寄り道すんなってことなんだよね。

 

 

 気が散る‼︎

 

 気になる‼︎

 

 もっと好きになるっ‼︎

 

 ヤキモチ度が上がる‼︎

 

 ってなわけなんですわ。

 

 

 そう、実は…だれかにしか言ってないけど、オレは柚穂が好きなのです。

 

 

 普通は、誰にも言ってないけどって言いたいところなんだけど…

 

 オレのこの気持ちを知っているお方がいるんです。

 

 

 その人物とは…

 

 柚穂の父です。

 

 自分から言ったわけじゃないんだけど、以前に柚穂の家族とうちの家族で合同バーベキューしたときに、柚穂があんまり危なっかしくて、色々面倒見ていたら柚穂の父が

「優馬くん、柚穂のこと好きなんだね。おじさんは、嬉しいよ」

 って、その時耳打ちされたんだよね。

 

 

 オレは固まったよね。

 

 そして…

「そんなにわかりやすいっすか⁉︎」

 っておとうさんに言ったよね。

 

 

 そしたら、柚穂が

「えっ?安い⁉︎どこのバーゲンセールよ⁉︎」

 って話に入ってきたんだっけ…。

 

 

 まったくさ…

 

 だからオレは、

「心のバーゲンセールだよ。早くしないと売り切れちゃうかもな。」

 と言ってやった。

 

 そしたら、柚穂のおとうさんが

「そりゃ、大変だぞ‼︎柚穂」

 っていうと柚穂は、キョトンとした。

 

 そんな柚穂を見て、オレとおとうさんは顔を見合わせて笑った。

 

 

 

 オレは、柚穂のおとうさんと秘密の共有ができて少し柚穂に近づいたみたいで嬉しかったんだ。

 

 

 でも…でもですよ?

 

 いくら柚穂のおとうさんとお近づきになれてもねー…、肝心の柚穂がオレを好きじゃなかったら意味ないんよねー。

 

 …たぶん柚穂は、兄貴のことを好きなんだと思うし。

 

 

 …

 

 兄貴は、柚穂のこと妹みたいにしかみてないって言ってたけど、それも本当かどうか…

 

 

 ただオレに気を遣って言っただけかもしれないよね…。

 

 

 だって…めっちゃ仲良いし。

 

 …

 

 そんな柚穂は、懲りずに次の日もまた兄貴から勉強を教わる前オレの部屋にやってきた。

 

 そしていきなり、

「この前は、よくもわたしを邪魔扱いしたわね。でも‼︎もう邪魔なんて言わせないから‼︎勝負よ‼︎」

 と、いきなり言い出す柚穂。

 

「は?勝負?」

「そう、負けたらもう文句なんて言わせない‼︎それじゃあ、いきますっ‼︎最初は、グー‼︎続いてパー‼︎」

 って言われて思わずパーを出しちゃったよね…。

 

 でさ、柚穂はチョキ出してるわけよね…。

 

 

 なんなん⁇

 

 ほんと…なんなんよ?

 

 

 

 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る