JUMP! ~谷を越えるほどの跳躍を!~戦記~

沼津平成

第1夜

 夜だった。深い夜。眠るにはちょうどいい、ほの暖かい夜だった。酔っ払いの息のような、それに安心感を抱かせたやつだ。公園の原っぱのあたりにテントを張って、野宿するのにちょうどいい夜。

 そんな夜の公園に紛れ込んだ高校一年生3人組がいた。――翔太、游、秋羽。

 彼らは折りたたみ椅子と段ボール、それにインスタントスープしかもっていなかった。しかし、2日間生き延びてきた。彼らはコンビニでスープを買いながら、折りたたみ椅子の下の段ボールで寝ているのだ。この椅子と段ボールはガムテープでくっつけてある。椅子は翔太の兄のおさがりで、段ボールは游の家に山ほどあった。ガムテープは近くの雑貨屋に、パンの耳みたいに置いてあるのでもらってきたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る