戦艦大和、大航海時代で無双する〜豊臣秀吉と世界征服を目指せ!〜
雨宮 徹
第1話 戦艦大和、大航海時代へ
20XX年。第二次世界大戦に勝った日本は、ドイツ、イタリアと共に世界を治めていた。アメリカ、ヨーロッパをはじめ、各国は三国の属国になっていた。
しかし、ドイツとイタリアの裏切りにより、日本は史上最大のピンチに追い込まれていた。ドイツ、イタリアは距離が近いことを活かして協力し、日本包囲網を形成、徐々にその包囲網を狭めていた。
窮地に陥った日本では「いかにしてドイツとイタリアに対抗するか」が喫緊の課題になっていた。このままでは、日本は彼らの属国となり、暗黒の時代が訪れるのは明白だった。そんな中、日本国内で「タイムスリップして、過去のヨーロッパを弱らせる」という作戦が立案される。問題はどうやって過去に行くかだった。
そこで、白羽の矢が立ったのは退役した「戦艦大和」だった。そう、戦艦大和をタイムマシンにして、大航海時代のヨーロッパ諸国を叩くのだ。大航海時代に行くのだから戦いは海戦がメインになる。それが戦艦大和が選ばれた理由の一つだった。
「おーい、
「
俺は手に持ったドライバーでネジをしめつつ、返事をする。
タイムスリップ先は戦国時代の日本。そして、最初に接触するのは、天下統一を成し遂げた豊臣秀吉。日本が戦国時代のころ、世界では大航海時代が到来していた。この時期はスペイン、ポルトガルをはじめ、ヨーロッパ各国が植民地を作るべく勢力を伸ばしていた。この時期の各国を叩き、栄えること自体を防ぐ、それが作戦の内容だった。
史実では豊臣秀吉は世界征服をすべく、朝鮮出兵を試みている。つまり、日本一強へ歴史を変えたい湊たちと世界征服をしたい豊臣秀吉で目的は一緒なのだ。
おそらく、秀吉が戦艦大和を見たら、腰を抜かすに違いない。江戸時代に黒船がやってきたようなものだ。いや、それ以上に違いない。
まずは秀吉を説得出来るかが最初の問題だ。これができなくては話にならない。しかし、俺たちは成し遂げなければならない。未来の日本のためにも。
「さあ、大航海時代で暴れてやろうぜ!」と凪が肩をブンブンと回している。
俺はタイムスリップをするためのボタンを押す。すると、周りの風景がグラグラとする。タイムマシン酔いは予想していたが、ここまで強いとは思っていなかった。
そして、無事にタイムスリップが終わると、俺たちを向かい入れたのは広大な海だった。水平線はどこまでも続き、朝日が水面を明るく照らし出している。
「さて、タイムスリップはうまくいったかのかな」
俺は年代を示す計器を見る。大丈夫だ。予定通り、大航海時代、つまり、日本でいう戦国時代だ。タイムスリップ成功だ。
タイムスリップ先はざっくりとした場所しか指定できない。ここが日本近海なのは間違いないが、どこなのか、それを知らなくては話にならない。
俺が地図で場所を特定しようとした時だった。視界に何かが入る。
「おい、凪、あそこ見ろよ! 帆船が見えるぞ!」
国旗を見るに、どうやらポルトガルの船らしい。ひとまず、テストといきますか。
俺は大和主砲の「45口径46cm3連装砲」を帆船に向ける。
「ちょっと、いきなりぶっ放すの? やめなって!」と紅一点のミオが止めに入るが、もう遅い。俺はすでに主砲のスイッチを押していた。
ドゴォーンという爆音とともに、弾が飛んでいくと、帆船に当たる。いや、当たる前に風圧で押しつぶされていた。
「ヒュー、記念すべき一発目だ。派手にやったな!」
凪が囃し立てる。
「これでいいんだよ。さあ、さっさと秀吉のところに行こうぜ。一緒に世界征服をするために」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。