愛される方法を教えてください。
@Kisaki_0924
第1話
私の味方なんて、誰1人いなかった。ルーディア侯爵家の叔母に引き取ってもらったはずなのに、黒い瞳と漆黒の髪の毛を持った私は“悪魔の子”と言われ続けて。
私はずっと1人なんだ。お母様の顔も、お父様の顔も知ることのない私は。
「ローネ。はやくしなさい。」
叔母様が私を急かす。いったい私に何を期待しているのだろうか。“悪魔の子”の私に。
いつもよりほんの少し豪華なドレスに身を包む。最低限の教養ならあるからどこに向かうとしても恥をかくことはないだろう。
「あなたはもううちの子じゃないの。あの有名な“悪魔”の娘になるのよ。」
叔母様の意地悪そうな声。“悪魔”。最近噂で軽く聞いたことがある。この帝国の隅の方でくらしている公爵様...?かしら?
彼は誰よりも戦の才能があって、彼に勝るものは誰もいない。....本当にそんな人物がいるのかしら。
「わかりました。」
本当に帝国の奥の奥の方にある、大きな公爵邸。庭にはたくさんの薔薇が植えてあり、まさに誰も寄せ付けないような雰囲気があった。
そのまた奥の方にある重そうに閉じられた扉がゆっくりと開いていく。そこからでてくるのはきっと“悪魔”と呼ばれる公爵様なのだろう。
私がぼーっと突っ立っていると、叔母様が公爵様に近寄っていき、大金を手渡されているところを見てしまった。
本来は裏取引と言われるような場面なのだろうに、この人は隠す気がないのだろうか。
「ローネっ」
叔母様の私を呼ぶ声。私はコツコツとヒールを鳴らしながら公爵様のもとへと向かっていく。
「太陽のご加護があらんことを。シュガー公爵様。よろしくお願い致します。」
帝国流の前置きと、簡単な挨拶。.....失礼に思われることはないだろうか?また、悪魔の子なんて言われるんじゃないのか.....。
いや、“悪魔”の公爵様の娘なら悪魔の子の方が光栄なのかしら。
「あぁ、」
少し、優しさの混じった声。私が前を向くと、公爵様は“珍しい”黒髪と黒い瞳を光らせた。
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