幸せになれますように。

第1話

アルコンシィエル帝国には、二つの公爵家があり、片方のリィースター家には千年に一度、聖女が生まれると言われている家系で、

もう片方のシュガー公爵家は千年に一度ヴァンパイアが生まれると語られていた。

聖女の特徴は、白い翼に黄色の瞳でヴァンパイアの特徴はどす黒い翼に、

赤い瞳。そしてそれぞれの聖女、ヴァンパイアには、“固有の能力”があった。

そんな不思議な王国で私はシュガー公爵家のヴァンパイアとして生まれた。

真っ黒の髪の毛と翼に瞳は赤黒い色。ヴァンパイアの特徴はすべてが当てはまっていた。

「あら？クロエお姉様じゃないですか！」

庭園の奥の方から日傘もささずに駆け寄ってくる一人の可変な少女は、私の名前を大声で呼んでいた。

「おはよう、シロエ。」

その可憐な少女も、私と同じく真っ黒な翼に赤い瞳をもっていた。私と唯一違うところといえば、

彼女の髪の色は私と正反対の白色。ということくらいだった。

私の双子の妹であるシロエも、ヴァンパイアなのだ。