第15話 ブロッコリー

 我らが部長。ブロッコリー先輩。

「生徒会はクソだ」

 部活に初めて足を運んだ時に聞かされた問題発言。入る部活を間違えたかもしれないという恐怖と、ここをもっと知りたいという好奇心で溢れたのを覚えている。

 先輩は思想は強いが染めようという意思はなく(問題発言の前に「今から思想強くなりますね」とつける)、私も含め部員(?)たちは確固たる自分を持っている。だからこそ生まれる幸せな空間。


 一度潰れかけた文芸部を、生徒会と揉めながら立て直した。

 当時部員は一人、今年になって、同学年(ヘッドホン先輩)と後輩たちは増えたが、先輩はいない。二年生ながら部長を務めている。

 熱い男だ。

「生徒会はクソだ…」

 文化祭で販売する部誌。

 色々あって原価(私たちの労働代ではなく製本業者に頼んだ金額のみ)が一冊450円になった。

 当初の発注予定は百冊。

 生徒会からのルールとして、利益をマイナスにしてはならないと釘を刺されている。当たり前と言えば当たり前だが、シビアだ。

「どうする…?」

 結局最後には、全員がブロッコリー先輩を頼る。

 ブロッコリー先輩はその頭をかいた後、一息置いて、

「百冊で行こ」

 と言った。

 ノウハウも設備も金も人脈もない。

 だけどこの人の元でならなんかやってける気がする。


「いいなー。俺も髪染めよっかなあー」

「緑にしましょうよ」

「ブロッコリーって思ったでしょ絶対!!」

「白もいいですね」

「カリフラワー!!」

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