第3話 ベクトル合ってる?

「東京から日本を引いてイギリスを足したら何になるでしょうか」

「はいっ!!」

「どうぞっ」

「ロンドンです」

「正解っ!!」

「えなんで?」

「東京=日本の首都なので、そこから“日本”を引くと“首都”が残ります。そこに“イギリス”を足す=ロンドンとなるわけです」

「東京とイギリスって単語近いじゃん?共通点と相違点みたいなのをどうやらグラフに書けるらしいんだよベクトルってのは。超面白くね?」

「こゆこと?」


 居候先輩は、ヘッドホン先輩から奪ったiPadのメモ機能に式とグラフを書く。


「そうそうそう、知らんけど」

「でも俺やっぱ納得いかないな。だって今の例えだといくらでも要素を細分化できそう」

「ですよね。なぞなぞだからすぐ答えましたけど、真剣に考えるとモヤモヤします」

「他の例は何かないの?」

「うーん例えばそこの扇風機にドラムを足したら洗濯機になるってことじゃない?」

「それは意味の話じゃなくて機能の話になったような?」

「ていうかそれなら扇風機から風を送るという要素を引かないと」

「やっぱどこまでも細分化できるだろこれ〜」


 というような知的好奇心が刺激される議論を夜の7時ぐらいまでやって一昨日の文芸部の活動は終了しました。


 ちなみにブロッコリー先輩は将棋をしながら、ヘッドホン先輩は韓国語を勉強しながら、居候先輩は数学の問題を解きながら、ピンク先輩はデュエマしながら、私は麻雀をしながら参加していました。

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