第21話

自分のエプロンに染みついた甘い、甘い、甘い香り。きっとそれは、人魚の血液の香りだろう。本当に嫌気がさす。


ぼとぼとと口から溢れ出す胃液。


「うっ.....。きもちわるい.....。」


本っ当に、自分が心底気持ち悪かった。


「せんぱーい!」


僕は今日も明るく珊瑚先輩に語りかける。先輩はやっぱり今日もカワイイ。


「あぁおはよう。青葉君。」


先輩の優しく甘い声。そんな声で僕の名前を読んでくれるなんて、あぁ本当に可愛い。


「先輩!今日もお仕事一緒に頑張りましょうね〜!」


僕に優しく柔らかい微笑みをむけてくれる先輩。


「青葉君はこの仕事に誇りを持ってるみたいでいいね、僕なんか上手く人魚と分かり合えなくってね、」


先輩は人魚の成長を見届ける仕事、だったかな。

先輩は生きているだけですごいのに....。それに、僕は自分の仕事が嫌いなのに.....。


「ふふっ。僕は自分の仕事に誇りなんてありませんよ〜!」


先輩の瞳が揺れ動く。

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