【短編小説】BARクロギツネ

バーボンサム

【まえがき】

そうですね。なぜか寂しくなるとBARって探したくなりますよね。物悲しい秋なんか特にそうです。誰かに教えて貰ったお店もいいけど、自分で見つけたお店なんか最高でしょう、多分教えたくないかもね。迷路のような何度行っても迷子になりそうなお店って、それだけでワクワクしてしまいます(私だけですかね?)。ここは新宿、とあるビルの2階。クロギツネ兄弟が経営する酒屋の2階。そこには綺麗なキツネのママさんがBARをやっていますよ。今日もまた、異次元の通路を通ってお客様がやって来るようです。


「いらっしゃいませ!どーぞー」

「皆様のことが好きです♡」

 


優しいロギ姉さんの言葉は、いつもすべてを癒すんだよな!みんなこの言葉が好きです〜みんなですよ。ただ姉さんのお店にはなかなか行けないんです。そこって迷路なんですか?チャレンジしても無理なんです。私はあるところで姉さんの噂を聞いてから4回チャレンジしました。無理でした。最後の通路を抜けて目の前が眩しくなったと思ったら、2丁目交差点で寝てました。…くやしいです。それでも諦めませんからね。姐さんに逢うまでは何回でもチャレンジしますよ。


「そうなのよ、ごめんなさいね」


知ってるよ。

別に姉さんが悪い訳では無いんだよね。



今日はお月様がとても綺麗だ。

今日も1人、明日も1人

見えないドアを探している。


「ありがとう嬉しいわ」


美しい目をした姉さんは、いつも遠くを見つめてる。

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