ガチャ中毒〜ヤンデレを添えて〜
シャルねる
第1話
「……もう今月の給料も全部使っちまったな」
ゲームのガチャに給料を全部注いで、飯や住む場所を疎かにするなんて、馬鹿げてると思う。
でも、いつからなんだろうな。例え生活を疎かにしたって、ガチャを回したくて回したくてたまらないんだよ。
……今思えば、子供の頃はまだマシだったんだな。……大人になって、社会人になって、自由に出来る金が増えたからこそ、こんな生活をしちまってるわけだしな。
【ガチャ 無料】
世の中タダで引けるガチャなんて無課金で地道に集めるしかない。
そう分かっているのに、俺はそんなことをネットで検索してしまう。
無駄だと分かっていても、心のどこかでもしかしたら、なんて思いがあるからなんだろうな。
そして、下にスクロールしていっていると、ただ「ガチャ」とだけ書かれた見慣れないサイトを見つけた。
……もう長いことこんな無駄なことをやってたけど、こんなサイトは一度も見たことがない。
最近できたサイトってことか?
まぁいいか。開いてみよう。……流石に開いただけでウイルスにやられるなんてことは無いだろう。エロサイトじゃないんだしな。
【ガチャを引きますか?】
そりゃ引きたいからこそ、こんなサイトにたどり着いたんだろう。
当然「はい」を選んだ。
【ガチャの種類を入力してください】
すると、ゲーセンとかでよく見るガチャの機械みたいなのと一緒にそんな言葉が表示された。
……ガチャの種類を入力してくださいって、俺が決めるのかよ。
……確かに俺はガチャ中毒ってやつなんだろうけど、意味の無いガチャに快楽は覚えないぞ?
人それぞれだろうけど、ソシャゲとかで例えるのなら、分かりやすく強いキャラや可愛いキャラ、そしてかっこいいキャラを引くためにガチャは引くものだろう? 当然引けたら嬉しいし、育成をすると思う。
ただ、こんなサイトのガチャで強いキャラっていうのは意味がわからないし、仮に可愛いキャラやかっこいいキャラを引けたとしよう。……それ、なんの意味があるんだ? 育成して戦わせられるわけでも、愛でることが出来るわけでもないだろう。
いくらもう給料が無くなってガチャを引けなくなったからって、こんな訳の分からないサイトを開いてしまったことを今更ながらにバカバカしかったな、と後悔しつつも、俺はガチャの種類ってやつを入力した。
【ガチャ】
入力した内容はただ一言「ガチャ」だ。
俺はどうやって回すのかは知らないが、もうやけくそで適当に画面を連打した。
ここまできてブラウザバックってのはなんか違うと思ったから。
すると、画面に映っていたガチャの機械が動き出したかと思うと、金色のカプセルが出てきた。
どう見ても当たりって感じの見た目だけど、こんな訳の分からないサイトだからこそ、快楽は無いし、なんなら、絶対当たるように作られてたんだろうな、という冷めた気持ちすら湧いてきていた。
【異世界入場券(一度限り)ガチャ特典付き】
……はぁ。なんだ? これ。
【異世界入場券を使用しますか? しませんか?】
……バカバカしいと思いつつも、ガチャの一言に釣られて、俺は「はい」を選択した。ガチャさえ引ければ俺はなんでもいいし。……もちろん、こんな快楽を覚えられないガチャじゃなく、快楽を覚えられるガチャだけだけどさ。
そして、その瞬間、スマホの画面が設定できる明るさの限界以上に光だしたかと思うと、俺の意識はスマホの明るい画面とは真逆の闇の中へと引きずり込まれていった。
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