第13話

「何?クルシエ?」


「いやぁ?何でも?」


........。いったいこの男は何をしたいのだろうか。

ガラにもないことして。

いや、そもそも私はこの男について詳しく知らないし、彼も伝えるつもりがないようだし、

私はきっと彼が何をしてもガラにもないとか言うんだろなぁ。


「え.....。他のやつら困ってるみたいだよ?アンテルがこーゆーの対応するのが一番上手いじゃん?」


.........。彼がいう“やつら”は私のさっきの言葉なんか届いてなくて今はなにかについて熱く語っているようだけど。

調子の良いやつらだ。


「......そっかぁ、」


.......なんなんだよコイツ。物語の序盤で伏線だけ張ってくやつかよ。

私がボーッとそんなことを考えていると、クルシエはペティのそばへと向かってしまった。


「.......えっ........ちょ.......もしかしてこの伏線私が回収しなくちゃなの?!」


人が多い廊下では、皆が話をしているせいか、

私の声がクルシエに届くことはなかった。


.......。なんなのあのプライド男の友達Dくらいの立ち位置のクセに..........。

AになれないくらいのDくらいの友達だろうに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る