愛の棲家



華奢な細い体で、雛月は薺を産んだ。


御形により仕込まれた。



「待って下さ、い。激しいッ。」


「待てない。」


「や、だめッ。あァっ。」


麻薬の様。癖になり、やめられなくなる。思いは募るばかりで、安心など出来なかった。



夫婦仲が良いのに越した事は無いが、御形と雛月は閉鎖的なところがある。


御形は人付き合いは広いが、心を許せる相手はほんの一握り。


雛月はあまり外と関わりを持たない。


御形と結婚するまで、日本舞踊しかやって来なかった。



次期家元の妻として振る舞うのは苦手だった。

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