愛の棲家
うみ
愛の棲家
御形からは瑞々しい花の香りがする。
華道界の貴公子、天才華道家と呼ばれ、雑誌でインタビュー特集が組まれたりとファンが多い。
御形が日本舞踊宗家の娘、雛月と結婚した時は嘆き悲しむ女は多かった。
雛月と婚約するまで、御形は浮名を流していた。
雛月の愛らしい頬を撫で、顔を傾けると睫毛が伏せられた。唇を重ねると柔らかい。
角度を変え啄み、御形は唇を堪能した。
唇の隙間から舌を滑らせ歯列をなぞり、頬の内側や上顎の粘膜を擦る。
奥で縮こまる舌を絡め取り、唾液が水音を立てた。
キスの合間に熱い吐息が洩れた。
甘く舌を吸い、唇を離すと銀色の糸を引き切れた。
艶かしく濡れる雛月の唇を、御形は指先で触れると愛撫する様に拭った。
御形はまた唇を重ね舌を絡めながら、雛月の体をゆっくりと押し倒した。
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