第14話 未知トラップ
みんな〜!悪い話と悪い話がある!どっちから聞きたい?
オーケーオーケー。ならまず悪い話からしよっか!
「……迷った」
子供の時に初めてショッピングモールに来た時、欲しい物や興味のある物に惹かれてついつい親から離れてそのままはぐれる時、ある人ならあるよな。
目を閉じたまま下水道風ダンジョンを移動していた俺はまさに似たような感じになっている。何も目移りしてないけどな!目が見えてなかったから!
「はっはっはっはっ……わりぃ、やっぱ笑えねぇわ……」
本当に笑えないし、何より俺がはぐれた事で湊ちゃん達に現在進行系で迷惑を掛けているので、俺は口ではそう言って落胆しつつも、冷静に周りの状況を見つつ、探索をする。
「グギャッ!?」
「シャァ……」
そういえば言い忘れていた悪い話がもう一つ。俺一人になってから、一歩進めばモンスターに出くわすぐらい接敵している。
お陰で下水道の匂い消しと迎撃で魔力がいつもの二倍ぐらいの速度で減っている。
くそ……
誰か!この中にレベルでアップな方はいらっしゃいませんか!幼気な美少女妖精の魔力が今も消耗されているんです!
未来ある美少女をどうか助けてください!
【レベルアップを確認しました】
しゃあ!!四十レベ来たぁあざす!!
【レベルアップボーナスで氷属性の極意を獲得。条件達成により氷獄魔法と聖氷魔法を解禁します】
おん?名前からしてすっごい物騒な魔法と名前からして物騒じゃ無さそうな魔法を手に入れたな。
「どれどれお二方の詳細は……?」
俺は慣れた手つきで透明な板……ステータスボードというものを出し、そこから『氷獄魔法』と『聖氷魔法』の説明欄を見る。
凄いよこれ。ただ自分のステータスとか諸々を見れるだけかと思ったら各スキルの詳細な設定まで見れるんだよ。
ふむふむ……氷獄魔法は攻撃特化の魔法が多くて、聖氷魔法は攻撃と支援のバランス型でバラエティに富んでいると……。
つまりはこうだな?つよつよ美少女妖精として立ち回るなら氷獄魔法をガンガンに使っていって……湊ちゃん達の支援をする時は聖氷魔法をガンガンに使う。そういう事だな?
「そうと決まれば早速練……おや?」
俺はモンスターと接敵しようと思って曲がり角を進んでいったのだが、そこには見覚えのない景色があった。
ダンジョンの床や壁、天井がまるで切り取られたように途中で無くなっており、その先には360°プラネタリウムを彷彿とさせるような、どこまでも続く星空の景色が広がっている。
「なにこれ……」
俺は不思議に思って近づいてみる。
一先ず、3Dゲームによくある見えない壁の線を考えて星空に向かい手を伸ばすと、よく分からんヌメヌメした感触が返ってくる。
「しょ……触手か?それともスライム……何これ私知らない……うおっ奥に行くと何か冷てえ」
もし触手ならRで18な結末になりそうだが……ふむこれどうやら生暖かくてヌメヌメしてるだけの魔力っぽいな?何かそんな感じがする。
はは〜ん?つまりこのダンジョンには何かヤバいものが隠されているって事だな?
「それなら……」
俺は手から魔法陣たちを生み出し、それらを複雑に組み合わせる。
氷獄魔法さん、早速出番みたいですよ。
「
瞬間、魔法陣からは強烈な吹雪が指向性を持って星空へと襲いかかり、その星空は少しづつノイズを帯びて破壊されていく。
一点突破のゴリ押しバ火力。ミステリアスな美少女に相応しいエレガンスな攻略ではないけれど、まあ良いでしょ。
よ〜し、そのまま早く壊れろ〜^^
「ガンッ!!」
やがて壁となっていた魔力は完全に霧散し、奥にあった鉄板が吹雪を直撃で受け、鉄板はあられもない姿で何メートルかを飛ぶ。
……奥に鉄板あったんだ。知らなかった。
「さてと……お邪魔しま〜す」
鉄板の奥にあったのは、先ほどまで居た下水道風ダンジョンからは一変し、まるで地上の近未来的都市のような綺麗な廊下が続いていた。
どうやら明かりはないようでとても暗いけど、何かの建物っぽいな。どうやら当たりを引いたみたいだ。
「そろ〜り……」
俺は壁に手をつきながら、長い廊下を警戒して進んでいく。
とは言え、強引に壁を破壊して何も無いって事はこの場所セキュリティが存在しな――
【侵入者を検知。非常用シャッターを作動します】
「ガンッ!!」
スゥ~。俺、今から一級フラグ建築士名乗るわ。
【毒ガスを散布します】
ちょっ、待っ!?毒ガス!?美少女に毒ガスですか!?アウトやろそんなの!!人の心とか無いんか!?
「ちょ……」
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