第12話 料理トゥゲザー
「ふんふんふ〜んふ〜んふ〜ん〜♪」
俺は今、鼻歌で「イッツ・ア・スモール・ワールド」を歌いながらクリームなシチューを作っている。
確か、クリームシチューは具材に気を付けるといい感じに栄養が取れるって、どっかの誰かが言ってたからね。
疲れた時にはしっかり栄養のある料理を。俺の母性(?)が火を吹くぜ……!
あ、火傷には気をつけてねみんな^^
「――結局アクさんに任せるなんて貴方って人は……!」
「私は疲れているの!それにアクちゃんの手料理は美央もいでででっ!?」
俺は鍋に蓋をし、後ろを振り返って会話という名のレスリングをしている湊ちゃんと美央ちゃん、そしてそれを見守っている悠々ちゃん、それらを無視して読書をしている歩夢ちゃんを見る。
……四人用のテーブルの上で器用に喧嘩してるね二人とも。
「……!二人ともそろそろご飯の準備しますよ〜」
「はぁ〜い」
「ふぅ……」
すると俺の方をちらりと見た悠々ちゃんが二人にテーブルから退くように言う。
そして二人は大人しく席に座ると、台拭きを出してテーブルの上を拭いていく。
「よし……いい匂いね」
それを見た俺は大きめの皿を五枚、小さめの皿を一枚取り出し、それぞれにシチューを盛り付け、さらに俺は炊飯器で特急炊きをしておいたご飯をお椀によそっていく。
美少女見習いとはいえ、これはよくできたシチュー&ライスでは無いのだろうか。ファミレスでちょっとした料理長として一年間働いた甲斐があったもんだ……。
「すんすん……なんかすっごいいい匂い」
「ええ。これは期待できますね」
「アクちゃんお料理上手なんですね〜」
「……い、いい匂い」
まずは四人のいい反応に内心ガッツポーズをしながら、俺はそれぞれの席にシチューと白飯を運ぶ。
ふふ……これから毎日俺の手料理を食わせてサポートしまくってやんよ……。
「へぇ〜……シチューとご飯って珍しい組み合わせだね!」
「要領はカレーと同じでしょうか?何にせよフランスパンだったら歯が疲れていたので助かりますね」
運ばれた料理に湊ちゃんと美央ちゃんが反応する。
「カレーと同じなら……えいっ」
湊ちゃんはシチューの真ん中によそった白飯をのせる。
お嬢ちゃん……それは間違いなく美味ぇが……間違いなく行儀が悪い。まあ湊ちゃんのキャラ的にやると思ったし、それはそれで可愛いからヨシ!
「あっ、湊さん!?」
「あらあら〜」
「……「ドボッ」……よし」
「ちょっ、歩夢さんまで!?」
四人のうち、二人がシチューオンライスをする構図。
やりたい。めっちゃシチューオンライスしたい。けど俺は自分のキャラ的にシチューオンライスはできない。
わりぃ、やっぱつれぇわ……。(涙)
「まあまあ美央ちゃん。別にここがレストランというわけではありませんし、気軽に行きましょ〜」
「そうですが……確かにここは家ですけど、一応アクちゃんがいるので……」
「それはいらない気遣いなんじゃないですか〜?ねぇアクちゃん?」
うぉっ急に話題を振られたな。
「ええ。別にいつも通り振る舞ってくれてもいいのよ?」
「そう……そうです、か……」
そう言って美央ちゃんもシチューオンライスをする。
そうかそうか。つまり君はそんなやつなんだな。ギャップ萌えがわい゙い゙ね゙ぇ゙!!!
「それじゃあ準備も出来た事ですし、いただきましょうか〜」
悠々の声がけでみんなが手を合わせる。
「うん!せ〜の――」
「「「「「いただきます」」」」」
小さめのスプーンを持ち、シチューを一口運んでみると、まろやかなクリームと小さめに切った野菜のマリアージュが口いっぱいに広がる。
うん。我ながらスーパーデリシャスな仕上がりだな!
「ん!おいひい!」
「これは、悠々さんと同等の美味しさ!?」
「凄いですねぇ〜」
「はぐ……んっ……」
ふふふ……四人が俺の愛情(純愛)を込めた手料理を食べてくれてるこの素晴らしい状況……俺じゃなきゃ尊死するね。
「あ〜……美味しかった!おかわり!」
うおっ湊ちゃん食べるの思ったより早っ!?そんでもっておかわりとは、やるな……。
「今よそうから少し待ってちょうだい」
「わ〜い!」
うんうん。おかわりを喜ぶ純粋無垢な感じが可愛いねぇ。はぁ〜このまま美少女を適度に感じ続けてぇな!
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