第12話 過去と現在の交錯
リナの告白によって、新たな事実が明らかになった。リナのおじいさんが、かつて微細たこ焼きを作り上げた伝説のたこ焼き師であり、その技術を封印した理由を探るためにリナはこの旅を続けていた。翔太もまた、自分の失われた記憶と過去の出来事に向き合いながら、この旅の目的を再確認していた。
二人は再び足を進め、次の目的地へ向かっていた。微細たこ焼きがもたらす力、そしてそのたこ焼きが人々の心にどれほどの影響を与えるのか、彼らはその答えを知るために覚悟を決めていた。
「ここからは、私たちの心を試されるかもしれないね」とリナが言った。
「そうだな。でも、お前の覚悟があるなら、俺も進むよ」と翔太は静かに答えた。
夜が深まり、二人は長い道を歩き続けた。突然、彼らの前に一軒の古びた建物が現れた。それはリナの記憶の中にあった風景と一致していた。
「ここだ…おじいちゃんが最後に住んでいた場所」とリナは小声で言った。
「ここに来たことがあるのか?」翔太が尋ねると、リナは頷いた。
「子供の頃に一度だけ。でも、何も覚えていないんだ。おじいちゃんは、ここで何かを隠していた気がする。それが、微細たこ焼きの封印に関わっているはず…」
二人は建物の中へと足を踏み入れた。中は薄暗く、埃が積もった家具が放置されていた。時間が止まったような静けさが漂っているが、何か重要な秘密がこの場所に隠されているという緊張感が漂っていた。
「この家…不気味だね」とリナは囁く。
「お前の言う通り、何かが隠されている気がする。探してみよう」と翔太はリナに同意し、部屋の中を慎重に探索し始めた。
しばらくすると、翔太が一枚の古びた手紙を見つけた。埃を払いながらそれを広げると、そこには驚くべき内容が書かれていた。
「これは…おじいさんの手紙だ」翔太は驚いて声を上げた。
「何て書いてあるの?」リナが駆け寄る。
手紙には、こう書かれていた。
「私の愛する孫へ。
微細たこ焼きは、私が長年追い求めた究極の技術だ。しかし、それは同時に恐るべき力を持つ食べ物でもある。それを食べた者は、己の心の中にある真実と向き合わなければならない。その力があまりにも強すぎて、人の心を壊すことさえある。
私が微細たこ焼きを封印した理由は、その力が誰にでも扱えるものではないからだ。人は自分の弱さや恐れに耐えられないことがある。それが原因で、ある人物が…」
手紙は途中で途切れていたが、そこに書かれた言葉は二人に衝撃を与えた。
「おじいさんは微細たこ焼きの力を恐れて封印したんだ…。でも、ある人物が…って、何を意味してるんだ?」翔太は困惑した。
「ある人物って…誰のことなんだろう?」リナも同じく混乱していた。
その時、リナはふと自分の過去の記憶の断片が蘇るのを感じた。幼い頃、この家に来たときに出会った人物の影。だが、その人物の顔はぼんやりとしていて、思い出せなかった。
「何か思い出しそうなんだけど…どうしてもはっきりしないの。おじいちゃんは、誰かに微細たこ焼きを食べさせたのかもしれない。でも、その人が誰か分からない…」
「もしかしたら、その人物が微細たこ焼きの本当の力を体験したのかもしれないな」と翔太は考え込んだ。
二人は家の中をさらに探索し続けた。やがて、リナが床の一部に奇妙な突起を見つけた。そこを押すと、隠し扉が開き、地下への階段が現れた。
「こんな場所があったなんて…」リナは驚いた。
「ここに答えがあるのかもしれない」と翔太は決意を込めて言った。
二人はその階段を降り、暗闇の中へと進んだ。地下はひんやりとしていて、古びた実験室のような雰囲気が漂っていた。そこには様々な道具やレシピが並んでおり、微細たこ焼きの研究が行われていた痕跡が残されていた。
「これが…おじいちゃんの研究室?」リナは呆然とした。
「ここで微細たこ焼きが作られていたんだな…」翔太も同じく驚きの表情を浮かべていた。
すると、突然一冊の古いレシピ帳が目に留まった。その表紙には、かすれた文字で「微細たこ焼きの最終形」と書かれていた。
「最終形…?」リナが呟く。
その言葉に、二人は再び緊張感を覚えた。このレシピが、封印された微細たこ焼きの本当の力を解き明かす鍵となるのだろうか。
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