第6話 奇妙な占い師
翔太とリナは、「秘密の屋台街」という場所を目指して歩き続けていた。町の中でも特に古びたエリアにあり、そこに足を踏み入れる者は少ないという噂だった。しかし、微細たこ焼きの謎を解くために、この場所に向かわなければならないと二人は確信していた。
「この辺りだと思うんだけど、本当にそんな屋台街があるのかな?」リナが不安そうに呟いた。
「あるはずだ。あの老婦人が言ってたんだから、何かしら手がかりがあるだろう」と翔太は答えた。心の中ではリナと同じように不安を感じていたが、今は進むしかない。
しばらく歩くと、二人は薄暗い路地にたどり着いた。そこには、かろうじて「屋台街」と読めるぼろぼろの看板が掛かっていた。どうやらここが目的地らしい。二人は慎重に足を踏み入れる。
路地を抜けると、そこにはいくつかの屋台が並んでいた。しかし、それらはどれも古く、長い間放置されているようだった。営業している店は見当たらず、ただ静寂だけが広がっていた。
「ここ、誰もいないね…」リナが言った。
「でも、きっと何かがあるはずだ。もう少し探してみよう」と翔太は周囲を見回した。
その時、突然、薄暗い屋台の一つから声が聞こえた。「お前たち、たこ焼きの噂を追っているのか?」
驚いて振り向くと、そこにはボロボロの服をまとった占い師のような姿の老婆が座っていた。彼女は小さな占いテーブルの前に座り、目を細めて二人を見ていた。
「たこ焼きの噂を知ってるんですか?」翔太は声をかけた。
老婆はかすかに微笑み、「知っているさ。だが、その先に進む前に、運命を知る必要があるだろう」と言った。そして、手招きをして二人をテーブルに招き入れた。
「何かの手がかりが掴めるかもしれない」とリナが囁く。翔太も同意し、二人は占い師の前に座った。
老婆はカードを取り出し、古びた手で一枚ずつ慎重にテーブルに並べ始めた。その動作はゆっくりでありながら、どこか神秘的な雰囲気を漂わせていた。
「微細たこ焼きを探す者よ、これはただの食べ物ではない」と老婆は呟くように言った。「そのたこ焼きを見つけた者には、大きな選択が迫られる。だが、その選択には代償がある。お前たちは、それを受け入れる覚悟があるか?」
「代償…?」翔太は戸惑いを隠せなかった。「どういうことですか?」
老婆は一枚のカードを指差し、「このカードが示している。お前たちは、小さきものが持つ力を見つけるだろう。その力は、ただの味覚ではない。心に影響を及ぼす。食べた者の運命を変えるかもしれない。」
「運命を変える…?」リナが疑問を口にする。「それって、どういうこと?」
「それは、お前たち自身が確かめるしかない。だが、一つだけ忠告しておく。微細たこ焼きを手に入れるためには、心の準備が必要だ。お前たちは、まだその準備ができていないようだな」と老婆は意味深な笑みを浮かべた。
翔太とリナは互いに顔を見合わせた。この占い師の言葉がどこまで本当かはわからない。しかし、微細たこ焼きにはただの食べ物以上の意味があるということだけは確かなようだった。
「この先へ進めば、微細たこ焼きの手がかりがあるだろう。ただし、進むべき道は慎重に選べ。運命の扉は、お前たちの選択次第だ」と老婆は最後に言い残し、カードを片付け始めた。
「ありがとうございます。行こう、リナ」と翔太は感謝の言葉を述べ、リナと共にその場を離れた。
「なんだか怖い話だね。でも、これでますます興味が湧いてきた!」リナは不安そうでありながらも、好奇心に満ちた笑顔を見せた。
翔太も不安はあったが、それでも「微細たこ焼き」を見つけるという強い意志が揺らぐことはなかった。占い師の忠告を胸に、二人は次なる手がかりを求めてさらに奥へと進む。
この旅がどんな結末を迎えるのか、二人はまだ知る由もなかった…。
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