恋愛初心者の私が二目惚れした彼をヤンデレ美少女から助けたらカップル(仮)になれました。いつか私の全部を知ってもらうつもりです
曇りの夜空
プロローグ 付き合ってくれないなら殺します!!
去年死んだおばあちゃんの遺言が頭に浮かび上がった。
『生きると言うことは生々しいことだ』
どういう意味か聞く前に僕たちの前で息を引き取った。僕たち孫のことを誰より思ってくれてる人だったからきっと人生最後にして最大の教えを施そうとしてくれたのだろうと僕は勝手に考えている。
生々しいとは一体どういうことだろう。漫画やドラマのように爽やかに、スッキリとは終わらないと言うことだろうか。
一人一人のエゴイズムが発露しているのが世界であり、そんな世界でしか生きることができないのが生々しいと言うことだろうか………今この状況もそんな生々しさが生んだというのだろうか。
……………
ま、どうでもいっか。生きてりゃそのうち分かるだろう。なんて言ったって僕はおばあちゃんの孫だからね。
僕の名前は
「付き合ってくれないなら殺します!!!!!」
可愛い後輩からの告白を断ったら包丁を突き立てられたことを除けばそこら辺にいる男子高校生Bである。
はぁ……にしてもこれどうしよう……このままだと僕死ぬんじゃね。死ぬのはやだなぁ、あの世って快適かどうか知らんし。
「私は本気ですよ!!!!」
本気の目してるんだよなぁ、あの世で結ばれようって目で語ってる……駄目だこれ、嫌な汗がダラダラ流れてるんだけど……
その時、夜空できらりと光った星が僕に語りかけてきた気がした。
『光起、阿呆なあんたは乙女心を知ることから始めなさい』
おばあちゃん、これは果たして乙女心の問題なんでしょうか。絶対関係ないと思うのは僕の無知からくる阿呆な考えなんでしょうか。
仮に乙女心の問題だとして相対性理論よりも難しいと噂の乙女心を理解できるんでしょうか。
そもそも僕の命が脅かされているという今現在、ノー天気にそんなことを考えている余裕があるんでしょうか。
『そう言われたらそっか。ま、取り合えずガンバ☆(ゝω・)vキャピッ』
もう命の危険がない身分だからってなんて呑気なばあちゃんだ。可愛い孫の守護霊になる気はないのか。
『あっはっはっはっは。ま、あんたはまだこっちに来るのは早いからせいぜいこの場を上手く切り抜けなさい。応援してるよ~~』
我が祖母ながらムカつく。
『ばあちゃん相手に何て言い草だい。ぴえん。泣いちゃうぞ、おばあちゃまは女の子だもん』
少し黙っててくれ。来年の墓参りいかないぞ。
『イチゴ大福持って毎日きてちょ』
天寿を全うした祖母にそんなことする孫はいない。って言うか喋り方考えてくれ。孫に精神攻撃するのが目的なのかおい。
『イグザクトリー!!流石私の自慢の孫!!!!!』
よし、無視しよう。
極限状況が起こした幻聴か、それともおばあちゃんの(悪)霊の囁きかは知らないが、僕の脳みそに響いてきた。
夜風が身体に染み渡り、雲の隙間から月光が覗いた。なんだが憂いを帯びているように感じるのは僕の気のせいだろうか。
「それでもお前と付き合うつもりない」
取り合えず本音をぶつけておいた。
地雷系どころか暴発寸前の地球破壊爆弾系ヤンデレ女子と付き合うのは死ぬより辛そうだから仕方ないよね。
「そうですか……」
月光を帯びた凶刃が僕を襲ってきた。
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