第15話 いつも通りな日常を


太陽がしずみかけてきた頃、少し開けた平原に出てきた。


「よし!今日はここで寝泊ねとまりするぞ〜」


と馬車を停めて、ヒューベルクさんは手慣れた手つきで馬車の部品を動かし、キャンプテントをいとも容易たやく作り上げる。


最近の馬車はすごいな…と感心しながら、幸介と一緒に近くの木を切って、まきを作っていく。


その薪をそれっぽく並べ、中に入れておいたわらに火をつける。


するとき火はぼうぼうと燃えはじめ、冷えきっていた身体を暖めてくれた。


「今日の夕飯はこれだな〜」


荷台の奥から米や野菜、スパイスが焚き火周りに運び込まれる。


調理担当はヒューベルクさんで料理が相当上手い。


米を飯盒はんごうで炊き上げ、野菜をいい感じにカットし、スパイスをうまい具合に調合していく。


そうして、キャンプ飯の王道とも言える”カレーライス”が出来上がった。


「「「「いただきます!」」」」


熱々のカレーライスは身体をしんから温めてくれ、とてもリラックスした気分になる…


「おいしいなぁ…」


すこし感動しながら、食べ進める。


「外で食べてるとなんか美味しさが一段と増す気がするなぁ〜」


そんなことを言っている幸介はすでに皿が空っぽで、おかわりをしようとしていた。


流石さすがに食べるの早くないか…?カレーライスは別にお前から逃げたりしないぞ…


「まぁカレーライスは飲み物だからな!」


なんか心を見透みすかされてるような気がするのだが…気の所為せいだろうか…


「「「ごちそうさでした!」」」


正直な感想を言うと…最高に美味しかった。冗談抜きで…


「どんな順番でどのスパイスをどのくらい調合したんですか!?」


と勉強熱心な葵はヒューベルクさんにカレーの作り方を教えてもらっていた。


流石に風呂や洗面所等の設備はなく、軽く身体を拭いて就寝する。


「おやすみなさい」


一足先に、焚き火で三人が談笑しているのを眺めながら、眠りにつくのだった。




馬車に降り注ぐ木漏れ日で目が覚めた。


「おはようございます…やっぱり早いですね…」


寝起きの目をこすりながら、手綱を引くヒューベルクさんに挨拶をした。


「商人の朝は早いからなぁ〜。おはよう、プチシュー800」


周りを見渡すと、昨日のカレーの残りと、毛布を被りながらスヤスヤと眠る二人がいた。


そういや寝顔なんて見たことなかった気がする。


「すまん。プチシュー800。ちょっとだけ仮眠させてほしいから代わってくれ。」


ぼーっと寝顔を眺めていたら、突然そんな事を言う。


「えっ…!?馬の操縦なんてしたことが…」


操縦なんて某カートゲームか空港にあるフライトシュミレーターぐらいしかないのに(?)


「まぁなんとかなるなる!商人の勘ってやつさ!」


馬車を停め、手綱を渡された。


「それじゃあおやすみ…」


入れ替わるとすぐに寝息が聞こえてきた。


「よっぽど疲れてたのか…」


なんか申し訳ないな…



まさしくヒューベルクさんの予想通りだった。馬の操縦が自分でも

驚くくらいうまくできていた。


慣れた手つきで特に変わり映えもしないような林道をゆっくり進む。



しばらくたった頃だろうか。荷台からガサゴソと音が聞こえたので、おそらく二人が起きたと思われる。


「おはよー”みや”。って馬の運転もできるなんて器用だね〜」


「宮﨑すげーなー!」


褒められると少し照れくさい…


「ヒューベルクさん今疲れてるからあんまりうるさくしないようにな…」


照れていることを隠すかのようにそんなことを言うのだった。



気温がだいぶ上がってきた。起きたヒューベルクさんに手綱を渡し、荷台でペットボトルに入った水を一気に飲み干す。


「良い飲みっぷりだぞ!はい、じゃんじゃん!」


謎に囃し立てくる幸介。


あとその掛け声は水じゃなくてわんこそばな…


「ところでさ、さっきまでなんの話してたんだ?」


「え〜っとね…中学生時代の話をしてたよ〜」


「中学生時代…か…」


葵は昔からの幼馴染だけど、中学校はなぜか別だったのでStorCh程度でしかやりとりしたことないし、幸介は高校1年生からの付き合いなので、言われてみれば二人の中学生時代のことを知ってるようであんまり知らない。


「中学生の頃はね〜」


と葵が語りだした。


「一番覚えてるのは、夕顔ちゃんと玲奈ちゃんって友達がいて、めっちゃ仲良かったなぁ〜」


聞いたことない名前だった…そりゃあそうか…


「どんな子やったん?」


「えーとね…夕顔ちゃんはものすごく古典が出来て、国語で夕顔ちゃんの右に出る人はないんじゃないかな〜」


”古典”、”国語”という言葉が懐かしい。そして既にもう1週間くらいこの世界にいることに驚いた。


「玲奈ちゃんはめっちゃ本が好きで、ずっと本読んでたな〜」


懐かしいなぁ〜っと呟いている葵。


「今、ふたりともどうしてるのかなぁ…」


どうやら高校に上がるときに別れたきり、やりとりをしていないらしい。


「もしかしたらゲームに転生してるかもな!」


幸介が冗談を言う。


「ははは。そんな訳ないだろ流石に〜」


「流石にね〜」


僕たちみたいに転生とかしてるわけがないよな〜

そんなアニメみたいな展開が現実に起こるわけないし。


「そういえば葵って中学生のときに海外行ってなかった?」


2年前とかそのぐらいのときにStorChで大量に写真を送られた記憶がかすかにあった。


「えっ海外行ってたのか...!?」


その言葉に幸介は大きく驚いた。


「”みや”よく覚えてるね〜たしかドイツとかに行っていろんなことしたよ〜」


が1番印象深かったな…」


「あの…写真?」


そんな時


「おーい。一回休憩するぞ〜」


ヒューベルクさんが気持ちの良さそうな草原で馬車を止めた。


<あとがき>


小説をいつもありがとうございます。

作者こときりむぎです。

誰かさんに感化(?)されて始めてみました。

完全に初心者なので(文章書くのは読書感想文以来…)

読みにくい箇所かしょ等々あっても大目に見て頂けると幸いです。


週2~5投稿予定です。(ほぼその日の気分次第…)

次回作もお楽しみに!!


☆☆☆

15話になったので進捗しんちょくです。

こんな小説ですが、なんとついに100PVを突破しました!

本当にありがたい限りです\(*´∀`*)/


今回、実は100PV記念ということでコラボ回でしたがいかがでしたでしょうか?


コラボ相手

茄子屋のトモカ様

小説「夕顔は枯れない」

下記リンクからぜひどうぞ!

https://kakuyomu.jp/works/16818093086179736692



感想等あればぜひぜひコメント欄にてお願いします!

これからも小説「かみひゅうがっ!」をよろしくお願いしますm(_ _)m



【お知らせ】

月1~4くらいの日曜日に短編小説とか別ジャンルの小説を出していけたらいいなあって思っています。

良ければ是非そちらもお願いしますm(_ _)m


また、11月4日から11月9日にかけて、用事で更に忙しくなってしまうので予約投稿になります。

そのため投稿の頻度ひんどが落ちるかも知れません…


以上です。

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