スキルディア王国物語 ベリー・ハード伝説記

@makadamia-doream

第1話 スキル授与式 きょうかいにて

スキルディア王国では12月31日は成人の日であり、その年15歳になった者は成人となり、女神スキルディアからスキルを授かる。

スキルは一人一人異なり、今後の人生の役割を定めるものでもある。

ある者は農家に、ある者は大工に、ある者は騎士に、そしてある者は勇者となった。


とある田舎町にすむ少年ベリーは今日という日を心待ちにしていた。

自分の特別が知れる、成人の日であった。


成人の日は町を挙げての祭りの日でもあった。住人は輝かしい未来に進む若者たちを祝福し、また一年間、平和に暮らせたことを大いに祝っていた。

町中賑やかであったが一ヶ所だけ静かな場所があった。

それは教会である。


教会は女神スキルディアの分霊を祀り、スキルの授与が行われる神聖な場所である。

そのためか、さすがに厳かな雰囲気をしていた。


そこに集まる町の若者たち、その中にはもちろんベリーもいた。

みな緊張の面持ちで自分の番を待っていた。


「マリア、前へ」

「はい」

マリアはベリーのご近所さんであった。深い関わりこそなかったが一応、幼馴染みである。

マリアはいつも静かで本ばかり読んでいた。彼女の素性については、ほとんど知らない。ただ彼女の父親が首都の聖騎士であって、そしてすでに死んでいることだけは、有名であった。


マリアが司祭によばれ壇上の女神像の前へ跪く。

すると女神像が光り輝く。そしてその光がマリアを包んだ。

「…!…ありがとうございます」

これでマリアにスキルが授与された様だ。

どんなスキルが与えられたかは本人しか知り得ない。

「次に、ベリー、前へ」

「は、はい!」

ついにベリーは名を呼ばれ、壇上の女神像の前へ跪く。

ベリーは光に包まれた。


ベリーは光の中で声を聞く


あなた には せかい の めいうん が みえます

あなた には この スキル を さずけましょう


【HP +5】


どうか せかい を すくって ください


………


ベリーは光から戻る。

こうしてベリーの世界を救う物語がはじまった。

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