第24話

 英は哲に背を向け…ドアの向こうに消えた。


「~ううっ…!

 うっ…うっ……!」


 やっと、泣ける…独法師の哲は、母の形見のヴィオラをいだき締め、涙を流しつつ、心で呟き続ける……


 母さん…母さん……!



 ♪♪~…

 ♪♪♪♪~♪♪~……


 哲は、ヴィオラを奏でていた―虐げられ、追い詰められ、置き去りにされていた、曾ての様に……


「ああ…その音だよ?僕が聴きたいのは……

 哀しくて、切なくて…愛しい……!」


「!?」


 何時の間にか、ノゾムが戻って来ていた―彼は、哲を背中から抱き締めると、哲の耳朶を甘噛みしながら、妖艶に笑う…

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