俺は、「テツ」―哲と明良(あきら)―

第11話

 哲は、同僚からは「テツ」と呼ばれている―否、東都音楽大学附属校中等部時代…三年生の、あの頃から。


 そう―彼が在籍していた弦楽器科に、編入生がやって来た日から、間も無くだ……


 チェロケースを背負って現れたのは、作野さくの明良・当時14歳。


 当初こそは同級生に、「Wアキラ」等と並び称され、煽てられていたものの…そんな揶揄からかいは、じきんだ。


 その最たる理由は―


「おい…今期のトップチェリストは、作野だって!?」

「作野君って…こないだ編入して来たばっかじゃ?」


「……!」

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