第30話

 祈は、鋭知がのこした彼女宛の封書を、担当医から受け取り―開封する……


〝祈。

 おれには、おとぎ話みたいな、あんたとの生活は、夢のようだった。

 あんたは、いつでもキラキラしてて、おれの宝物に見えた。

 だから、あんたには、ゲスいマネなんか、出来もしなかったんだ。

 自分でも、ヘンなキモチさ。

 でも、あんたとおれは、いつまでも、くっついてるモンじゃない。

 おれは、あんたの異物だから、とっとと消える。

 あばよ。〟


 鋭知その儘の、ぶっきらぼうな手紙…


「…え…い、ち…さ……!」


 嗚咽する、祈…

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