第28話

 その後の記憶は、理律夫も巫琴も曖昧で…彼等が意識を取り戻した時には―全てが、終わっていた……


 破れた楽譜…


 壊れたチェロ…


 全裸の二人…


 そして…

 砕かれた、理律夫の両手……。



「ぼくのせいだ!!


 ぼくが、不まじめなマネして、チェロをこわしたから!

 雨降ってるのにサッカーやって、カゼ引いたから!


 クリスマスに『白鳥』弾きたいなんて、ワガママ言ったから!!」


「明良君―」


「ぼくの手を、兄ちゃんに上げて!!


 ぼくの、大切な兄ちゃんが…

 大好きなピアノをあきらめなきゃならないなら…

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