三重奏(トリオ)―理律夫(りつお)と巫琴(みこと)、そして明良(あきら)―

第2話

 東都府 千央せんおう区・白金しろがねに在る、楽器店。


「…そろそろ出掛けます、店長……」

「もう、そんな時間か…

 ああ、気を付けてな?」

「はい!」


 如何にも楽器店主たる風貌をした中年男と言葉を交わす、端正な面差おもざしをした、黒い短髪の青年―


 彼は、上品なネクタイを締め直し、仕立の良いスーツの上衣を着て、綺麗に磨かれた靴に履き替える。


「リッちゃん、御疲れ様!」

「うん…

 ミッちゃんも、御疲れ様!」


 店の上階に設けられているピアノ教室から、足早に降りて来る、若い娘―

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