第36話

 監禁されていた「桜井夫妻」が、施設に保護されてから、丸一年が経った。


 花奈と浩生の「飯事ままごと」は、尚も続けられていた。


 与えられた「課題」をこなし…


 用意された「言葉」を云い…


 誘導された「応え」を、鸚鵡返しにし…


 その選択肢を、無感動に選ぶ……


 それを反復するだけではあったが―「台詞」の遣取を、繰り返して行く内に―若干は、「会話」が成立する様になった。


「…寒くない…?

 はい、コーヒー」


「ありがとう。

 大丈夫…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る